米ヴァイオリン・メモリー(Violin Memory)は、SAN(ストレージエリアネットワーク)経由で利用できる企業情報システム向けの半導体ストレージ装置を開発しているベンダー。2012年6月の日本法人設立後には、国内販売代理店がそれまでの1社(SCSK)から3社(東芝ソリューションが8月、マクニカネットワークスが10月に販売開始)へと増えた。ITproは、同社のソフトウエア担当CTOに、企業向けストレージの動向を聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


企業におけるストレージの状況は。

米ヴァイオリン・メモリー(Violin Memory)でソフトウエア担当CTOを務めるジョナサン・ゴルディック(Jonathan Goldick)氏
米ヴァイオリン・メモリー(Violin Memory)でソフトウエア担当CTOを務めるジョナサン・ゴルディック(Jonathan Goldick)氏
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 フラッシュメモリーの時代になった。この意味は、業務アプリケーションの高速化が進むということだ。事実、ハードディスク(HDD)を使った従来のストレージとは異なり、データベース管理者やアプリケーション開発者に向けて売る製品になっている。

 現状、業務アプリケーションのボトルネックは、ストレージI/Oにある。ここで、HDDをフラッシュメモリーに置き換えると、ストレージI/Oが改善する。ヴァイオリン・メモリー製品なら、3Uラックマウントで何千台ものHDDを置き換えられる。だから、フラッシュメモリーは、業務アプリケーション開発者向けの製品である。

 データベース管理システム(DBMS)を使っている場合、CPUコア数などでライセンスが決まる。ここで、ストレージにフラッシュメモリーを使うと、CPUコアを効率的に使えるようになる。サーバーの数が減り、DBMSのライセンスが減る。なぜなら、CPUがI/O待ちの状態になりにくく、それだけ多くの処理を実行できるようになるからだ。

HDDベースのストレージとはカテゴリーが異なるのか。

 システム管理の面では、既存の環境の延長線上で使えなければならない。企業には、すでに既存のSAN(Fibre Channel、iSCSI、InfiniBand)がある。だから、フラッシュメモリーも、既存のシステム環境を大幅に変更することなく、SAN接続をそのまま利用して導入できることが大切だ。

 一方で、性能の面では、大きな違いがある。歴史を振り返ると、CPUはムーアの法則で進化してきている(18カ月で性能が2倍になる)。SANネットワーキングも良好に進化している。ところが、HDDのパフォーマンス(遅延や帯域)は、ほとんど変わっていない状況だ。

 ヴァイオリン・メモリーの目的は、ストレージ性能をムーアの法則に乗せることだ。実のところ、すでにこれを追い越そうとしている。ここ数年の実績では、12カ月ごとに性能を2倍に成長させている。「3000シリーズ」から「6000シリーズ」へは2年間で性能を4倍にした。2013年にはさらに2倍に、2014年にはさらにそれの2倍にする。