NTT西日本は2012年12月1日、フレッツ光のユーザー向けに新しい長期継続割引サービス「光もっと2割(光もっともっと割)」を始めた(関連記事)。同社は8月にも料金値下げを発表(関連記事)しており、攻勢を強めている。NTT西日本の村尾和俊社長に、西日本エリアにおける光回線の競争状況や新割引サービスの提供の狙いなどを聞いた。

(聞き手は榊原 康=日経コミュニケーション


光回線の競争状況を知りたい。8月に新料金プランや値下げを発表したばかりだが、それだけ競争が厳しいということか?

NTT西日本の村尾和俊社長(写真=新関雅士)
NTT西日本の村尾和俊社長(写真=新関雅士)

 第2四半期(4~9月)までの実績を見ると、受注数は前年同期比93%だ。そこそこ確保できているが、それでも前年を7%下回っている。8月に発表した施策は、いわゆる需要喚起策。KDDIが西日本エリアで光回線の本格展開を始め、勢いを増してきている。当社も1Gビット/秒の高速サービスを以前から提供していたが、KDDIに比べて高く、苦戦が続いていた。

 そこで名称を「フレッツ 光ネクスト スーパーハイスピードタイプ 隼」に改め、料金を100Mビット/秒や200Mビット/秒のサービスと同額にそろえた。これが好調で、10月以降は新規受注が回復し始めている。最近では珍しく事務処理遅れが生じるほどの反響だ。KDDIに競り勝つという意味では一定の成果があった。

 だが、純増数に目を向けると、第2四半期(4~9月)は前年同期比61%の23万件と大幅に落ち込んでいる。最近はスマートフォンだけで十分との声も増えており、ここに手を打たなければならない。他社の攻勢も強まっており、思い切った施策が必要と考え、「8年間下がり続ける」割引サービスを投入した。清水の舞台から飛び降りるような決断だ。

NTT東日本は期間限定だが、NTT西日本は実質、値下げまで踏み込んだ。

 NTT東日本のキャンペーンは、ADSLからの乗り換えを中心とした新規顧客獲得の刺激策で、いわゆる入口戦略。当社は元々、「フレッツ・あっと割引」や「光ぐっと割引」で同様なキャンペーンを提供済みだ。これに対して今回の割引サービスは、顧客の流出を抑止する出口戦略。東日本と西日本でマーケットの競争状況が違うので打ち手も異なる。これまでの入口戦略も一定の効果があったが、限りがある。