Webブラウザを開発するノルウェーOpera Softwareがモバイルやテレビに注力している。アジア太平洋地域担当シニア・コミュニケーション・マネージャ Peko Wan氏(写真1)は、モバイルは急成長中だが、今後はテレビ向けHTML5アプリにも大きなビジネスチャンスがあると語る。

(聞き手は高橋信頼=ITpro


現在Operaが注力しているのは。

写真1●Peko Wan氏

 Operaは多様なプラットフォームにWebブラウザを提供している。デスクトップ向けOperaは5500万以上のユーザーが利用している。中でも注力しているのは、モバイル向けやテレビ向けの用途だ。

 AndroidやBlackBerryなどモバイル向けにはOpera MiniおよびOpera Mobileを提供している。Opera MiniはOperaのサーバーで圧縮した表示データをモバイル機器に転送することで表示の高速化を測ったブラウザ。Opera MobileはHTML5をサポートするフルブラウザだ。2012年、日本ではユーザー数で30%、ページビューで83%、データ量で116%の成長を達成した。Opera Mobile1 2.10はHTML5互換性テストでChromeを上回る成績を示している。

 また2012年にはモバイル広告企業2社、Mobile Theoryと4th Screen Advertisingを買収した。全世界のモバイルユーザーに対し、月間400億インプレッションの広告を配信している。

テレビにも力を入れている。

写真2●Opera TV Store
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 Operaのブラウザは2011年に1700万台以上のテレビに搭載され出荷された。2012年は2600万台以上になると見込んでいる。

 2012年に「Opera TV Store」(写真2)がソニーのBRAVIAなどに搭載された。「Opera TV Store」とはスマートテレビ向けにHTML5アプリを配信するプラットフォームだ。2013年にはもっと多くのスマートテレビにOpera TV Storeが搭載されるだろう。OperaはSDKやエミュレータを提供しており、開発者は容易にTV向けアプリを開発することができる。テレビ向けWebアプリは基本的にはパソコン向けと同じだが、画面の解像度が異なり、リモコンで操作がしやすようなインタフェースにする必要がある。そのためのテンプレートも提供している。日本の開発者に向けた、スマートテレビHTML5アプリ作成方法を解説するセミナーも開催する。

 スマートテレビは今後急速に拡大する見込みで、しかもこれまではメーカーがアプリをコントロールするスマートテレビが大半だったが、2012年からユーザーがアプリをインストールできるスマートテレビが多数派になり、急成長すると予測されている。テレビ向けHTML5アプリには大きなビジネスチャンスがあると考えている。