米Teradataはデータウエアハウスに関するカンファレンスを2012年10月下旬に開催、その基調講演でビッグデータからより多くの価値を引き出すための統合的なソリューションを提供していくことをアピールした。Teradataを率いるマイク・コーラー氏に、ユーザー企業にとってのメリットや自社ソリューションならではの強みについて聞いた。

(聞き手は田島 篤=ITpro


米Teradata社長兼CEO マイク・コーラー氏
米Teradata社長兼CEO
マイク・コーラー氏

2007年に米NCRから独立してから約5年経つが、その後の事業展開をどのように捉えているか。

 独立はTeradataの事業を伸ばすために非常によい機会になったと考えている。この5年間、業績が順調に推移して会社が成長できたのは、Teradataのことだけを考えて意思決定できるようになったことが功を奏したのだと思う(関連記事1)。

 例えば、2008年から2009年にかけてはIT業界も不況に陥ったが、我々は独立していたがゆえに自社ビジネスに対する投資を継続できた。もしもあのときに独立していなかったら、企業買収といった様々な投資は不可能だったのではないか。

買収した企業を見ると、いわゆるビッグデータ分野に投資をしている。これは計画的なものか。

 データウエアハウス分野をより大きくするために、3年前ぐらいから投資を考えていた分野がある。1つはビッグデータを対象にした分析、もう1つはマーケティングへの活用だ。

既存のアナリストのスキルを生かす

 ビッグデータ分析に関しては、既存のデータアナリストたちのスキルを生かせるように、リレーショナル・データベースとMapReduceを統合した並列処理型のソフトウエアを持つ米Aster Data Systemsを買収した。

 既存のデータアナリストは、従来ほど構造化されていない新しいタイプのデータ(多構造化データ)を分析するのに必ずしも十分なノウハウを持っていない。多構造化データを分析できるようになるには、かなりの負担が必要になる。そこで、SQLを利用してデータ分析ができるソフトウエアに目を付けた。買収して手に入れた「Teradata Aster」を使えば、SQLという既存の技術、スキルを用いながら、新しいタイプのデータを分析することが可能になる。

 ビッグデータ分析では、ソーシャルメディア、スマートフォンやタブレット端末、各種センターなどから収集される構造化されていない大量のデータを扱うことになる。ここでは分散処理ソフトウエアの「Apache Hadoop」は効果的なデータ処理基盤であり、その有効性はすでに実証済みと考えている。ただし、Hadoopを使いこなせるエンジニアの数は限られている上、給料も高い。Teradata Asterを使うことにより、既存のアナリストは従来のスキルを生かしながらHadoopに蓄えたデータを解析できるようになる。

マーケティング分野を強化

マーケティングについてはどうか(関連記事2)。

 マーケティングについてはこれまで、様々なチャネルを通じて顧客とコミュニケーションを図るマルチチャネル・キャンペーン管理を扱ってきた。このソリューションを補完するために、マーケティング活動に必要な予算や人材などを適正配分するためのマーケティングリソース管理ソフトウエアの「Aprimo」を手に入れた。チャネルに加え、リソースを管理できることで、統合化されたマーケティングマネジメントができるようなる。さらに、欧州でデジタルマーケティングアプリケーションを手掛けるeCircleも買収し、マーケティング分野の一層の強化を図っている。