デスクトップ仮想化(VDI)の導入が意外と進んでいないように見えるのはなぜか。その主な理由として「ストレージ製品のコストの高さ」を挙げているのが米Atlantis Computingである。同社のソフトウエア製品には、VDI導入にあたってネックとなるこの課題を解決できる“決め手”が搭載されているという。来日したチータン・ベンカテッシュCTO(最高技術責任者)に話を聞いた。

(聞き手は斉藤 栄太郎=ITpro


VDI普及を妨げる主な原因がストレージにあるというのはどういうことか。

米Atlantis Computing CTO チータン・ベンカテッシュ氏
米Atlantis Computing CTO チータン・ベンカテッシュ氏
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 VDIシステムの導入を検討している、あるいは導入済みのユーザー企業に話を聞いてみると、「VDIを導入したら以前より遅くなってしまった」「期待していたよりも快適ではないことが分かった」「導入費用が予想外に高く付きそうで困っている」といった意見をよく耳にする。VDIに魅力は感じつつも、こうした理由によって導入に二の足を踏んでいる企業は多い。実は、これらの不満の多くは「ストレージが高価なこと」が大もとの原因となっている。

 VDIシステムの導入を検討する場合、「どれくらいのストレージIOPS(I/O Per Second、1秒当たりのI/O処理数)を確保するか」というサイジング(見積もり)をする。一般的な(物理)パソコンの場合は、50から100IOPS程度出るのが普通である。それに対してVDIの場合は、もちろんコスト見合いだが、大まかに言って30(IOPS)くらいで組む。30という数値は当然通常のパソコンより低いため、まずここに不満が生じる要素がある。

 もっとIOPSを高く設定すればいいのになぜそうしないかというと、既に述べたように専用のストレージが非常に高価だからだ。高いIOPSを提供できるストレージほど価格もうなぎのぼりに上昇する。1仮想デスクトップ当たりのIOPSを30に抑えても、500仮想デスクトップを収容しようとすれば、合計で1万5000IOPSの性能を持つ高価なストレージが必要になる。

 こうしたストレージの高さがネックとなって、(ユーザーが思っているほど)投資コストに対してVDIのパフォーマンスが出ない/出せないという状況に陥っている。

 もちろん、VDIシステムの導入には、セキュリティやモビリティ向上といったコストパフォーマンス面以外のメリットもある。ただ、やはりコストパフォーマンスが優れていることが普及のためには最も重要だ。事実、我々の調査では前述したようなストレージの高さに起因するパフォーマンスの低さや初期導入コストの高さがこれまで思ったほどVDIの導入が進んでこなかった主な理由となっている。

 逆に言えば、投資額に対するVDIシステムのパフォーマンス、すなわちストレージIOPSを大きく引き上げたり、ストレージのためにユーザーが支払う費用を劇的に下げたりすることができれば、VDIの普及に一気に弾みがつくと我々は考えている。そして実際に、そのために必要な技術を搭載したアクセラレータ製品を開発し、市場に投入し始めている。