身近なIT機器の代表格として長年使われているPCが、その座をスマートフォンやタブレット端末に明け渡すとする「ポストPC」時代(関連記事)は来るのか。存在感が増すスマートフォンやタブレット端末に対するPCの役割と優位性について、インテルでビジネスPCの責任者を務めるリック・エチャベリア氏に聞いた。

(聞き手は田島 篤=ITpro

インテル リック・エチャベリア氏
インテル アーキテクチャ事業本部副社長
ビジネス・クライアント・プラットフォーム本部長
リック・エチャベリア氏

最近は「ポストPC」、つまり、パソコンが主役の時代は終わりつつあるのでないかという意見がある。これに対してどのように捉えているか。

 「ポストPC」というよりは、「PCプラスアルファ」であると捉えている。現在のIT機器の使われ方をみると、マルチデバイス化が進んでおり、その実態は、PCが別のものに置き換わっているのではなく、PCがほかのデバイスと連携して使われるようになっているというものだからだ。

では、マルチデバイスの中でのPCの特徴、優位点は何か。

 スマートフォンやタブレット端末と比較して、PCには三つの優位点がある。一つは、安全性。非常に高いセキュリティを確保できること。もう一つは、管理がしやすい、運用がしやすいということ。そして最後が、高性能であることだ。

 ただ、コンシューマITの進化は著しいこともあり、ユーザーとして自分の使うデバイスを自分で決めたいという機運が高まっている。そのため、デザインがスタイリッシュで持ち運びのしやすいデバイスに高いニーズが生じている。

 そこで我々はUltrabookを提唱、その結果として市場にさまざまな形態、種類の製品が登場している。それらにより、これまでCIOやシステム部門向けに提供してきた安全性、運用管理性、高性能といったPCの特徴に加えて、個人向けに重要な要素となるスタイリッシュなデザインやモビリティといった特徴も兼ね備えた、いわば進化したPCを提供できるようになった。このUltrabookがあれば、タブレット端末とPCの両方を持ち歩かなくて済む。

CIOやCTOといった人々の中には、情報を見るだけだったらタブレット端末で十分という意見もあるようだ。

 どのデバイスを使うかで重要なのは、従業員1人当たりの生産性をきちんと把握しておくことだ。例えば、単純なタスクといえる電子メールを例に考えてみよう。たとえ単純な操作であっても、1分当たりでどれだけ電子メールを処理できるかをみると、タブレット端末よりPCの方が断然有利である。

 もちろん、キー入力ということだけを捉えてみれば、タブレット端末にキーボードを付ければよいという意見もあるだろう。企業利用ということで重要なのは、高い生産性を確保すると同時に、高いセキュリティや運用管理面の優位性、既存のアプリケーション資産を維持できることだ。