グーグルの企業向けサービスというとGoogle Appsのイメージが強い。隠れたもう一つの柱が、Googleマップを中心としたGIS(地理情報システム)である。同社で企業向けソリューションのマーケティングを担当する藤井彰人エンタープライズ部門 シニア プロダクト マーケティング マネージャーに企業向けGISサービスの現状を聞いた。

(聞き手は白井 良=日経コミュニケーション)


グーグルの企業向けサービスにおいてGISはどういった位置付けなのか。

グーグル エンタープライズ部門 シニア プロダクト マーケティング マネージャー 藤井彰人氏
グーグル エンタープライズ部門 シニア プロダクト マーケティング マネージャー 藤井彰人氏

 Google Appsと並ぶサービスの柱だ。「Google Earth&Maps Enterprise」というブランドで展開している。Google Apps以上に成長していて、海外の一部地域ではGoogle Appsを超えたところもある。サービスの種類は様々あるが、主力はAPI経由で地図コンテンツを利用できる「Google Maps API」だ。

どういった使い方が多いのか。

 企業が保有する情報と地図を重ね合わせる様々な用途がある。企業が保有するデータの8割はロケーションと結びついているといわれている。今までは表として管理していた情報を、地図上にプロットして見やすくする。

 こうしたGISは従来は高コストで、資源開発や電気、ガス、地質調査など限られた用途にしか使われなかった。一般消費者向けのGoogleマップをベースに低コストなサービスにすることで、GISの活用が広がっていると実感している。

 大きく公開Webサイトに地図を埋め込む用途、社内システムに地図を活用する用途、機器などをトラッキング(追跡)する用途の三つがある。公開Webサイトに使われている例としては、全日本空輸のマイレージ会員向けサイトや、不動産情報サイトの「HOME'S」などがある。エンドユーザーが使い方を学ぶ必要がない点が強みだと考えている。

 社内システムへの活用では、三菱重工業が社内のプロジェクトマネジメントツールに採用している例がある。世界中のプロジェクトを地図にマッピングして、どの場所で順調に進んでいるのか、問題が発生しているのか把握しやすくしている。

 機器のトラッキングでは、NTTドコモのグアム子会社であるドコモパシフィックの事例がある。同社は車両をトラッキングするサービスを展開している。サービスを構成する部品として、Google Maps APIを採用してもらった。同社が提供するGPS端末で取得した緯度・経度情報をGoogle Maps APIに送信して、Googleマップ上に現在位置を表示する。このほか、船舶の位置管理に利用している企業もある。