米Oracleは、2011年10月にサンフランシスコで開催された「Oracle OpenWorld 2011」で、同社初のクラウドサービス「Oracle Public Cloud」と同時に「Oracle Social Network」という企業向けのソーシャルネットワーキングサービスも発表した(関連記事)。これは、はたしてどういうものなのか。製品担当のAndrew C. Kershaw氏に聞いた。
Oracle Social Networkとはどのようなものなのか。
Oracle Social Networkは単独の製品ではなく、Oracle WebCenterという製品の一つの機能になる。Oracle WebCenterは人と情報をつなげるプラットフォームである。RightNow Technologiesという会社を買収し、そのソリューションをラインアップに加えた。
ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)にも2種類ある。社内などのインターナルで使うものと、外部で使うパブリックなものだ。Oracle Social Networkは前者のための製品で、組織内のソーシャルを活用したコラボレーションに使う。コミュニティポータルといった形で社員同士あるいは社員と顧客の間で関係を結ぶことを支援するのに特化しており、社内のネットワーク上でFacebookやTwitterのように使える。
Facebookなどのような広く使われている無料サービスではなく、こうした有料製品を使って社内SNSを構築する理由は。
FacebookのようなパブリックなSNSは、情報セキュリティの面で企業のエンタープライズ分野における使用には適していない。大企業の顧客は、会社の業務に関わる情報がコンシューマ向けの場所に出てしまうことを恐れている。セキュリティに加え、会社としてコントロールすることができなかったり、プライバシーを公開してしまったりする問題があるからだ。
とはいえ、FacebookやTwitterのようなSNSの登場は、ユーザーのコミュニケーション方法を変えた。以前のように単にコンテンツを見るだけではなくて、ユーザーが何らかのコンテンツを発信するのが当たり前になった。これはめざましい変化で、単なる電子メールでやりとりするよりも、より効果的なエンゲージメントができるということだ。こうしたSNSの優れた部分を、企業のエンタープライズ向けに提供しようというのがOracle Social Networkである。
もちろん電子メールがもういらないということではない。電子メール自身も重要なチャネルとして使われ続けるだろう。だが、SNSがより効果的なツールとして使われ始めているということだ。
そもそも今の電子メールは、はじめに設計したときの想定よりも過剰に使われている。なんでも電子メールでやろうとすることで、逆に仕事の生産性が悪くなっている。そのために、最近では電子メールではなくソーシャルネットワークで直接話しましょうという流れになっている。
2週間ほど前に、ある会社の人事から相談を受けた。電子メールのトレーニングのプログラムを作成していて「電子メールの使い方をどう説明していいのかわからない」というものだ。「今後5年間で電子メールをなくしたい」と公言しているフランスの会社もある。いずれにせよ、ソーシャルを使ったコラボレーションに移行したいというのが明確な流れになっている。