デジタルコーストは2012年4月24日、米Salesforce.comの企業向けソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「Chatter」と、勤怠管理/プロジェクト工数管理/経費精算などを連携させた人材管理ソリューション「チームスピリット」の提供を開始した(関連記事)。Salesforce.comのPaaSである「Force.com」を活用して構築している。もともと同社は受託開発専業だったが、2009年にクラウドサービス提供事業者へと舵を切り、受託をやめた。同社代表取締役の荻島浩司氏ら(写真1)に、同社の事業転換や、SNSと人材管理を連携させた狙いについて聞いた。

(聞き手は、大谷 晃司=ITpro


なぜ受託をやめ、クラウドサービス事業に転換したのか。

デジタルコースト代表取締役の荻島浩司氏(中)、取締役の増山秀信氏(右)、そして同社と資本提携しているセールスフォース・ドットコムのコーポレートディベロップメント シニアディレクターの倉林陽氏(左)
写真1●デジタルコースト 代表取締役の荻島浩司氏(中)、取締役の増山秀信氏(右)、同社に出資しているセールスフォース・ドットコム コーポレートディベロップメント シニアディレクターの倉林陽氏(左)

 もともとデジタルコーストは、受託でコンサルティングを行ったり、金融ソリューションを開発したりしていたが、2009年にクラウド事業に方向転換して、その後受託を一切やめた。2011年10月末には米Salesforce.comの出資を受け、クラウドでサービスを提供する専業事業者になった。

 これまでも人材管理ソリューションを開発していたが、我々だけで作ると、勤怠管理やプロジェクト原価管理、経費精算などのスイート製品のようなものになってしまう。Salesforce.comからは出資だけでなく、ビジネスのアイデアなどアドバイスを得た。その結果、“ソーシャル”ワークフォースマネジメント(WFM)という形に融合できたと思っている(関連記事:WFMとは)。

ソーシャルと連携することで、人材管理はどう変わるのか。

 我々の人材管理ソリューション「チームスピリット」のポイントは大きく3点。(1)WFMとソーシャルメディアを融合した点、(2)行動記録に地図や位置情報などを活用する点、(3)これらをクラウドとモバイルで実現した点――だ。

 (1)のWFMは範囲の広い言葉だが、簡単に言えば適切なタイミングで適切な人に適切な仕事を割り当てること。それを実現しようと考えた。これまでは、例えばストップウォッチを使って業務の時間を記録したり、Excelのワークシートに記述して管理したりと、何らかのデータのインプットによって分析していた。我々はこのデータの入力をソーシャルメディアのタイムラインに該当する「アクティビティストリーム」に記録する。従業員が楽しみながら、自分はこういうことをしたよ、という感じで記録していける。そしてそれをワークフォースマネジメントに活用する。

 (2)の位置情報などのデータは(1)によって得られる。働く側からすればガチガチに管理されているように見えるが、実はそうではなく、企業内SNSを使うことによって、楽しく、コラボレーションしながら、ポジティブに自分がやっていることを発信するようになる。やらされているのではなく、自らこういうことをやっている、という形で時間や作業が記録されるようになる。駅探が提供しているAPIを採用しており、経路検索も可能だ。

 (3)のクラウドはSalesforce.comのPaaS(Platform as a Service)である「Force.com」を使っている。パソコンからだけでなく、スマートフォンからも使える。チームスピリットは、1ライセンスあたり600円で提供する。