米FalconStor Softwareは、データバックアップやDR(災害復旧)など、情報システムのデータを保護するためのソフトウエア製品を開発している企業である。ストレージを束ねて仮想化する基盤ソフトを中核に、CDP(継続的データ保護)ソフトやVTL(仮想テープ装置)ソフトなどをラインアップしている。同社CEOに、データ保護における直近のトレンドを聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


データ保護における直近のトレンドは何か。

米FalconStor SoftwareでCEOを務めるジェームズ・マクニール(James P.McNiel)氏
米FalconStor SoftwareでCEOを務めるジェームズ・マクニール(James P.McNiel)氏

 情報システムの姿が変わった。まず、データ量が増えた。現在は中小企業でも数Tバイトのデータを保有しており、データ保護に関して、大企業と同じ悩みを抱えている。また、サーバー仮想化の浸透によって、CPUの使用率が高まった。これにより、バックアップジョブのようなバックグラウンド処理にかけられるリソースが減った。

 データのリカバリ(復旧)については、拠点内でリカバリできるケースが増えた。現在では、企業からデータが失われる理由の多くが、拠点内の要因、すなわち、システム管理者の操作ミスやハードウエアの故障、悪意あるソフトウエアなどに起因している。遠隔拠点でリカバリしなければならないケースは、システム障害の5~10%に過ぎない。

ユーザーの需要はどう変化してきたか。

 BC(事業継続)とDR(災害復旧)の需要が飛躍的に高まった。実は、これらの需要は、ストレージのマイグレーション(移行)と密接につながっている。システム構成を継続的に見直しする過程で適切な製品を選ぶことで、自然にBC(事業継続)やDRの需要を満たすことができる。

 ユーザー企業は、事業を拡大して成長し続けるために、システムやソフトウエアを新しいものへと変えていかなければならないことが、大前提としてある。ここにマイグレーションの需要が生まれる。マイグレーションのための製品に求められる機能は、「既存のシステムを使い続けながら移行できる」というものだ。

 マイグレーションはBC(事業継続)の需要を満たすことにもつながる。なぜなら、ユーザーの多くは、マイグレーションによって本番系ではなくなった旧式の製品を廃棄することはせず、フェイルオーバーで可用性を高める待機系の用途で使い続けるからである。BC(事業継続)のために、あるサーバーのデータを別の機器でコピーし続ける製品が求められる。

 データのコピーを取っていると、DR(災害復旧)の需要、すなわち、ある時点のスナップショットを残しておく需要へとつながる。データのコピーをとるだけでは、データに問題があった場合は、その問題もそのままコピーしてしまうからだ。こうしたスナップショット機能が求められる。

ユーザー需要を受けた製品を提供しているのか。

 ファルコンストア・ソフトウエアは、上述したユーザーの需要を満たす製品を用意している。具体的には、マイグレーションのためにストレージ仮想化ソフトの「FalconStor NSS」を、BC(事業継続)とDR(災害復旧)のためにCDP(継続的データ保護)ソフトの「FalconStor CDP」を用意している。

 以前は幅広い製品分野を手がけていたが、この方針を改めた。現在では、マイグレーションやBC/DRの分野に集中している。ユーザー需要に支えられた巨大市場だからだ。狭い分野だが、ファルコンストア・ソフトウエアのリソースを100%傾けてもよい分野だと確信している。