米テラデータは、DWH(データウエアハウス)製品の「Teradata 14」を提供するベンダーである。最大の特徴は、DWH用途に特化することで処理性能を高めていること。RDBMSソフトウエアに加え、MPP(超並列)機と組み合わせたDWHアプライアンス製品をラインアップする。ITproは、同社のマイク・コーラー社長兼CEOに、DWHの動向を聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


DWH(データウエアハウス)の市場動向を教えて欲しい。

米テラデータ社長兼CEOのマイク・コーラー氏(写真中央)、グローバルフィールドオペレーションズ上級副社長のロバート・フェア氏(写真左)、日本テラデータ代表取締役社長の吉川幸彦氏(写真右)
米テラデータ社長兼CEOのマイク・コーラー氏(写真中央)、グローバルフィールドオペレーションズ上級副社長のロバート・フェア氏(写真左)、日本テラデータ代表取締役社長の吉川幸彦氏(写真右)

 DWH市場では二つのことが起こっている。

 一つ目は、データの統合だ。多くの企業が、データを一元化/統合したいと考え、実際に統合している。理由は、ITコストの削減である。厳しい予算の下、取り組みたいITプロジェクトがたくさんある状況で、コスト削減の意欲は強い。

 二つ目は、より良いデータ分析への需要だ。企業は、より多くの情報を、より良く分析したいと考えている。生産性を上げたいと考え、顧客をより良く理解したい、と考えている。

 米テラデータのアプローチは、この二つの需要をともにカバーする。ITコストを下げるとともに、より良いデータ分析を可能にする。

 例えば、典型的な企業は、多くの(50個から100個の)データマートを抱えている。個々のデータマートを購入するだけでもコストがかかるが、これらをすべて運用していくコストも大きい。

 ここで、米テラデータの顧客の場合、データマートが20個あったのなら、これを統合し、システム全体でもともとのデータマート二つ分ほどのコストに抑えられる。

 さらに、データマートの数を集約するだけでなく、データ自体の統合によって、新たなデータ(情報価値)が生まれる。例えば、これまで分散化されていた顧客データや製品データ、財務データなどを統合することによって、顧客の購買パターンが見えるようになる。

データマートの統合でコストが減る理由は何か。

 まず、運用コストが減る。データマートそれぞれについて運用担当者が必要だが、統合することで運用担当者の人数が減る。また、ETL(抽出/加工/登録)によってデータを移動させるコストも減る。データマートの数だけETLが動作するからだ。

 IT資源の使用率も高まる。一般に、IT資源の使用率は20~25%程度である。データマートも同様だ。個々のデータマートは、そのデータマートの利用者である限られたユーザーだけが使っているからだ。また、データマートが持っているデータも、データマート間で重複してしまっている。

 つまり、データマートを一元化/統合することによって、運用コストが減り、IT資源の使用効率も向上する。特に、IT資源の使用率を高めることは、いわゆるプライベートクラウドコンピューティングの目標でもある。米テラデータの製品を導入して複数ユーザーで共用することで、使用率90~100%を維持できる。

 よく「米テラデータ製品は価格が高い」といわれるが、それは誤解だ。もちろん、統合前の一つひとつのデータマートと比べれば、米テラデータ製品は高価である。一つ確実に言えるのは、米テラデータの顧客事例において、複数のデータマートを統合した場合、確実にコストが減っているということだ。