IT資産管理ソフトは、社内PCのハードウエアやソフトウエアの情報を収集して管理台帳を作成し、構成管理やソフトウエアの稼働管理などを行うソフトウエアである。約6000社のユーザーを持つ「LanScope Cat」の新製品を4月に発売予定のエムオーテックスにIT資産管理ソフトの動向を聞いた。

(聞き手は田島 篤=ITpro

IT資産管理ソフトの最新動向は。

エムオーテックス 取締役 執行役員 営業企画 兼 Support Center 高木 秀人氏
エムオーテックス 取締役 執行役員 営業企画 兼 Support Center
高木 秀人氏

(高木)従来はPCを中心に管理していれば企業のIT資産を管理できた。今後は違う。通常のPCとその周辺に加えて、スレートPCやモバイル機器などのマルチデバイスを管理する必要がある。具体的には、従来は「このPCは、だれが使っていたか」という観点で管理していたが、今後は「だれがこのパソコンとこのスマートフォンを使い、生産性をどのくらい上げたのか」が分かるツールが求められる。

 当社の製品であるLanScope Catについてはこれまで、情報システム部門に対して簡単に使えるセキュリティツールとしてアピールしてきた。今後は経営層に対し、効率や生産性を上げるために役立つツールであることを訴求していきたい。

(中本)これまではPC一人1台体制だったが、これからは一人が複数のデバイスを持つようになる。人よりもデバイスの数の方が多くなる。個々のデバイスごとに管理するのではなく、使う人にフォーカスを当ててデバイスを管理する必要がある。そうなると、従来のように情報システム部門が資産管理をするのではなく、経営層やラインのマネージャの役目になり得るだろう。

経営層が使うためには何が必要か。

エムオーテックス Product Center 執行役員 中本 琢也氏
エムオーテックス Product Center 執行役員
中本 琢也氏

(中本)不可欠なのが、経営者の見たい情報がすぐに見られる使いやすい管理画面だ。4月下旬に発売予定の「LanScope Cat7」では、Windows 8の「Metro(メトロ)」デザインの考えに基づいた、Webブラウザ上で使える管理画面を採用する。この管理画面はHTML5とCSS3、そしてSilverlight5を使って表示している。

 この管理画面の特徴は、機能別ではなく、目的別にボタンが並んでいることである。経営者が「この情報を知りたい」と思ったときにその目的のボタンをクリックすると、当該情報がグラフ表示される。従来製品では機能別のメニューを使いこなす必要があるので、情報システム部門が操作を行い、経営者は上がってきたレポートを見るだけという場合が多かった。経営者自らが使える画面を用意することで、受身ではなく積極的に情報を見ることが可能になる。

 例えば、プリンタの印刷状況であれば、印刷状況を表示するボタンをクリックすることで、プリンタ別、部門別、人別に印刷状況が分かる。レポートを待たずに、全社内にあるプリンタの状況を経営者自らが把握できる。

 また、従来製品では、ユーザーが設定をカスタマイズして見たいデータを表示することが難しかった。LanScope Cat7では、リアルタイムに加工したデータを用いてグラフを表示できる。

モバイルデバイス管理への対応は。

(高木)生産性を上げるためのツールとして、スマートフォンやスレートPCは欠かせない存在になるだろう。まずは、Android端末用のモバイルデバイス管理ツール「LanScope An」を5月中に発売する。デバイスやアプリケーションの利用状況を把握したり、データを管理したりするツールである。通常のモバイルデバイス管理機能に加えて、IT資産管理ソフトとの連携機能についても検討を開始した。5月の発売時点では実現できないが、今後両者を組み合わせて使えるようにすることで、モバイル機器の導入理由の一つである生産性の向上をいっそう支援できると考えている。