米Microsoftでは、次期クライアントOS「Windows 8」と並行して次期サーバーOS「Windows Server 8(開発コードネーム)」の開発を進めている。このWindows Server 8では、180以上の新機能が追加されるという。新機能の概要について、日本マイクロソフトのWindows Server製品担当者に話を聞いた。

Windows Server 8では、現在のWindows Server 2008 R2と比べて、どのくらいの機能強化があるのか?
藤本:数え方にもよるが、Windows Server 8には180以上の新機能や機能強化が予定されている。
具体的にどのような分野の機能が強化されるのか。
高添:Windows Server 8は、大きく5つの領域の機能拡張を実施した。具体的には、(1)サーバーOSとしての基本機能、(2)ストレージ機能、(3)仮想化機能Hyper-Vのバージョンアップ、(4)クラウド基盤としての機能、(5)多様なワークスタイルを可能にする機能の5分野だ。
順に聞いていきたい。まず、「サーバーOSとしての基本機能」の強化点は?
高添:Windows Server 8は、最大64のCPUソケット、最大640の論理プロセッサ、最大4Tバイトのメモリーをサポートする。現行のWindows Server 2008 R2では、ハイエンドエディションのDatacenterエディションでも、最大論理プロセッサは256コア、メモリーは2Tバイトだった。
また、PowerShellにあらかじめ用意されているコマンドレットの数を230個から2330以上に増やした。これで、コマンドレットだけでどのような操作にでも対応できるようになったと思う。
WebサーバーソフトIISについても、IIS 7.5からIIS 8.0へバージョンアップを実施した。IIS 8.0では、NUMAアーキテクチャをサポートするほか、1台のWebサーバー上で複数のアプリケーションが稼働している際に、アプリケーションごとのCPU割り当てを制御する「CPUスロットリング」の機能を追加した。
それから、大きな機能強化点として、クラウドへのサーバーバックアップに対応した。Windows Azure Platformへのバックアップを標準でサポートする。
「ストレージ機能」の強化点を教えてほしい。
高添:Windows Server 8は、ローカルディスクやUSBメモリー、SANなどのストレージを束ねるレイヤーとして機能する(図)。束ねた各ストレージの物理ボリュームは、ファイルシステム、iSCSI、NFSなどの用途に応じて論理ボリュームに切り分けた状態で示されるので、ユーザーは、ストレージの種類を区別することなく利用できる。この機能拡張により、“ストレージ”としてのWindows Serverの位置付けが出来上がったと言える。
そのほかにも、ストレージ管理機能として、シンプロビジョニング機能、ブロックレベルの重複除外機能を追加した。
Windows Server 8では、仮想化機能Hyper-Vがバージョンアップして「Hyper-V 3.0」になった。新版のコンセプトと概要を教えてほしい。
藤本:Hyper-V 3.0は、Hyper-Vの特徴である“簡単な操作”を維持したまま、より高度な機能が使えるようになり、中堅・中小企業のニーズに合致する仮想化機能に仕上がっている。
高添:例えば、「Hyper-V Replica」というディザスタリカバリー機能は、Hyper-V 3.0マシンを2台用意するだけで、自動的に一方のマシンのシステムをもう片方のマシンにレプリケーションできる。2つのIPアドレスを設定できるので、拠点やルーターをまたいだレプリケーションも問題なく実行できる。
最後に、「クラウド基盤」の新機能について教えてほしい。
岡本:Windows Server 8の仮想化機能には、単なる仮想化技術だけではなく、マルチテナント機能など、プライベートクラウドを構築するための機能が標準搭載されている。現在、当社とホスティング事業者が“Hyper-V Cloud”のコンセプトで提供しているプライベートクラウドが、Windows Server 8の機能だけで実現できる。当社では、このクラウド基盤構築が可能な仮想化機能のことを、「仮想化を超えた機能(Beyond Virtualization)」と呼び、Windows Server 8の目玉機能の1つに位置づけている。