成長の原動力は中国国内向けの事業ですか。

確かに国内の仕事が増えるのは間違いないでしょう。ただし、日本向けの仕事を最重要視する姿勢は今後も変わりません。大連市のソフト・サービス産業の輸出額に占める日本向けの割合は70%ほどを占めます。この割合は5年後もそれほど変わらないでしょう。日本企業からの受注をもっと増やせると考えているからです。
大連市のソフト・サービス産業が抱える課題は何ですか。
いろいろあります。中国国内のマーケット開拓、国際的な競争力があるソフトの開発、高度な技術を扱う研究拠点の誘致、といったところでしょうか。BPOのような業務請負サービスだけではなく、知的財産の蓄積につながるような力を付ける必要もあります。
最低賃金引き上げの影響は軽微
4月から大連市が労働者の最低賃金を大幅に引き上げるとの報道もありますが、賃金上昇は問題になりませんか。
最大の問題は上昇スピードが速すぎることです。これには対処が必要です。ただし、上昇しているのは最低賃金です。これは大連市では月額1000元ぐらいです。
ソフト・サービス産業の平均賃金は同3000元ぐらいだと思います。最低賃金との間にはかなりの開きがあります。最低賃金の上昇は、必ずしもソフト・サービス産業の賃金上昇につながりません。影響があったとしても軽微です。この点については、我々に説明不足のところがあります。日本の方々に安心してもらうために、情報発信を強めていきます。
それから最後に言わせてください。今回の日本の震災には心を痛めており、被災者の方々には心よりお見舞い申し上げます。我々は全力を挙げて日本の皆様のお手伝いをさせていただきます。今、大連市の赤十字会や慈善総会が募金活動をしています。中国石油天然気(ペトロチャイナ)傘下の大連石化は、2万トンの軽油とガソリンを日本に発送しました。一日も早く、皆様がこの困難を乗り越えて復興することを、お祈りしています。
夏 徳仁(か・とくじん)氏