時々刻々と生成される大量のデータから、いかに知見を見出してビジネス戦略に生かすか――。ビッグデータ活用が情報システムのあり方と企業戦略を大きく変えようとしている。一貫して明細データの戦略的活用を唱えてきた日本テラデータに、ビッグデータ活用との違いについて聞いた。(聞き手は井上健太郎/田島篤=ITpro)

一貫して明細データの戦略的活用を唱えているが、ビッグデータをどう見る?

日本テラデータ マーケティング統括部 統括部長 中村 博氏
日本テラデータ
マーケティング統括部 統括部長
中村 博氏

 我々のBIの定義は「データを情報に、情報を知識に、知識を行動に変えて、ビジネスを成功に導くための、一連のプロセス」というものである。このBIを構成する要素としてデータ分析ソフトもあれば、TeradataのようなDWH(Data Warehouse)もある。ご存知のようにDWHは、データを収集して蓄積し、分析するための倉庫だ。詳細なデータ(明細データ)の長期保持と分析が可能である。

 我々はこのDWHを用いて、「サマリーデータではなく、明細データでしっかり管理しよう」ということを一貫して主張している。DWHでないと、明細データを処理できなくなるので、ほどほどのデータでいいやというようになってしまっている。

 ただ、DWHにしても、月次や週次で事前定義型クエリーを投げてバッチ処理する「REPORTING」での使い方が主流である。データの戦略的活用に向けて、まずはアドホックな(例外的な)クエリーも可能な「ANALYZING」、さらには、何が起きるか予想する「PREDICTING」もできるようにしようと主張している。

 その次の段階になると、今何が起きているのかをリアルタイムで処理する「OPERATIONALIZING」に進む。さらに先にはイベントに応じて能動的に処理が発生する「ACTIVATING」に進化していく。我々は、このようにDWHの利用法が進んでいくと考える。

 ビッグデータが注目されているかといって、このDWHによる取り組みはそれほど変わるわけではない。過去から一貫して明細データを蓄積してビジネスに生かしましょうと主張しており、この主張が幅広く受け入れられるチャンスだととらえている。ビッグデータならではの要素をあえていうと、情報のソースが増えたことだと考えている。

ビッグデータの定義は各社曖昧のようだが。

 確かに、ビッグデータという言葉が先行している感もある。悪く言えば、我々も含めて各ベンダーが言いたいように言っている。例えば、単にトランザクション量が多いことを指してビッグデータと言っている場合もあるようだ。

 我々は、Webログ、RFID、センサー網、インターネット上のテキストやドキュメントなどを総称して「ビッグデータ」と言っている。ビッグデータ活用は、これらのデータからどのような知見を引き出してビジネスに生かしていくかが鍵を握る。

 例えば、米eBayが保持しているデータは既に48ペタバイトにも及ぶ。データの巨大化、および、その戦略的活用については急に登場した話ではなく以前から延々と検討されていたものだ。加えて、新たにWebログとかセンサーデータを扱えるようなったのが、今日のビッグデータの位置付けだろう。