セキュリティベンダー各社は2011年、「スマートフォン向けセキュリティ」を新たなビジネスの場として新製品や新サービスを相次いで投入し、激しくシェアを争い始めている。大手セキュリティベンダーの英ソフォスもその1社である。同社が今後投入を予定しているスマートフォン向けのセキュリティ機能などについて話を聞いた。

(聞き手は斉藤 栄太郎=ITpro

2011年、どんな分野に力を入れているのか。

写真●英ソフォス  ライナー・ゴーリック CMO(最高営業責任者)
写真●英ソフォス ライナー・ゴーリック CMO(最高営業責任者)

 大きく三つある。まずモバイル向けのセキュリティだ。特にスマートフォンとタブレット端末を中心としたセキュリティ分野に注力している。この分野では今、劇的な変化が起こっている。例えばタブレット端末は、1年半ほど前までは市場というものがまったくなかった。ところが今では多くのユーザーが持っている。業界自体がわずか18カ月程度でゼロから50億、60億ドルといった規模にまで急成長した。

 端末の台数が増えれば、当然それを狙ったセキュリティの脅威も増加する。そこで、わが社ではこの分野向けの最初の製品として、「Sophos Mobile Control」を販売している。これは、スマートフォンに対してリモートロックやアプリケーション制御などのセキュリティ機能を提供するものだ。さらに、今年から来年にかけて新たに四つの機能を提供しようと計画している。いずれも企業がスマートフォンを安全に利用する上で必要な機能と考えている。

 一つめは、スマートフォンやタブレットを使って企業のデータに安全にアクセスする手段を提供する「セキュアデータアクセス」だ。企業内で使っているWordやPowerPointなどのドキュメントを自動的に暗号化してクラウドストレージサービス上に保存し、スマートフォンから場所を問わずいつでもアクセスできるようにする。

 クラウドを使うことで、「大切なデータを持ち運ぶことによるリスクを最小化できる」「端末に保存するデータ量を減らせる」「より多くのデータにアクセスできる」という三つのメリットが得られる。仮に端末が盗まれても、端末とファイルのそれぞれにかけたパスワードを入力できないと第三者が中身を見ることはできない。