一般的にドメイン名として英数字が使われるが、日本語文字を含むUnicodeの文字を使える「国際化ドメイン名」(IDN)が登場している。今、「.asia」ドメインのレジストリであるドットアジア・オーガニゼーションが、IDNの登録申請を受け付けている。7月25日までは、商標や企業名を持っているところが優先されるという。ドットアジア・オーガニゼーションのエドモン・チュンCEOに話を聞いた。

(聞き手は高橋 健太郎=日経NETWORK

ドットアジア・オーガニゼーションCEOのエドモン・チュン氏
ドットアジア・オーガニゼーションCEOのエドモン・チュン氏

「ドットアジア・オーガニゼーション」は、どのような組織なのでしょうか。

 我々はインターネット利用を促進するための非営利組織です。その中にあってIDNは非常に重要な位置を占めています。

 ドットアジアは、アジア各国でトップレベルドメイン(TLD)を管理している組織が集まって作りました。例えば、日本はjp、中国はcn、韓国はkr、インドはinというTLDが使われていますが、各国にはそれぞれTLDを管理している組織があります。それは政府の組織だったり、政府から委託を受けた民間組織だったりします。現在は、そうした29のメンバーによってドットアジアが運営されています。

日本からはjpドメインのレジストリである日本レジストリサービス(JPRS)が参加しているのですか。

 はい、その通りです。また、APNICも参加メンバーです。

母国語を使ったドメイン名はSEOで有利に

IDNは、どのような意味で非常に重要なのでしょうか。

 IDNについては、約10年前から様々な検討が始まり、私もそのプロセスにすべてかかわってきています。2010年から2012年にかけて、IDNによってインターネットに大きな変革がもたらされると考えています。

 なぜなら、多言語でドメイン名を使える環境を実現すれば、より多くの人がインターネットを利用するようになるからです。アジアの国々では、第1言語として必ずしも英語を使っているわけではありません。

図1●将来使える予定のIDNによるトップレベルドメイン
図1●将来使える予定のIDNによるトップレベルドメイン
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 現在、ほとんどのドメインはアルファベットで記述されています。しかし、IDNにより、TLDである「.asia」の前の部分を中国語、日本語、韓国語で表記できるようになっています。例えば、「日本語.asia」といった具合です。さらに、将来的にはドメイン全体を中国語、日本語、ハングルなどで表記できるようになります(図1)。

 例えば日本では「.日本」というドメインができる予定です。また世界中の国々で、その国の言語でドメイン名が書かれることになっています。

 インターネットというのはもともと英語で始まったものですが、これから大きな変革が始まる中で、IDNが一番重要な要素になっていくでしょう

IDNを導入することによる直接的なメリットはなんでしょうか。

 一つには、IDNによって検索エンジンの最適化、すなわちSEOが大きく変わると考えています。ユーザーが検索バーに単語などを入力して検索する場合、母国語で検索することがほとんどです。このため、IDNの導入によって、ドメイン名と検索に使われるキーワードがきちんとマッチングし、検索結果のランキングで上位に上がってくるでしょう。

例えば、Googleの検索エンジンがそういうアルゴリズムで動いているという理解でよいのでしょうか。

 はい。もちろん検索結果のランキングはコンテンツやリンクを考慮したものにはなっていますが、例えば、同じ内容のWebサイトがあった場合、ドメイン名がマッチすればそちらのほうが上位になります。