エン・ジャパン サイト企画部の福田智洋部長(左)と中途採用支援事業部 企画部 サイト企画グループ マネージャーの佐原潤氏(右)
エン・ジャパン サイト企画部の福田智洋部長(左)と中途採用支援事業部 企画部 サイト企画グループ マネージャーの佐原潤氏(右)

 求人情報サイトを運営するエン・ジャパンは、Facebook上の人脈を利用して転職活動および採用活動を行うためのFacebookアプリケーション「enTree Work」を5月30日にリリースした。6月下旬には、enTree Workを利用して採用活動を行う企業向け管理ツールも提供を開始する。同社 サイト企画部の福田智洋部長と、中途採用支援事業部 企画部 サイト企画グループ マネージャーの佐原潤氏に、enTree Workの使い方と開発背景を聞いた。

(聞き手は羽野 三千世=ITpro



enTree Workの概要と使い方を教えてほしい。

福田:enTree Workは、転職希望者、および企業の中途採用担当者向けのFacebookアプリケーションだ。転職希望者は、自身のFacebook上における“友達”の勤務先企業に対して、入社希望の意志を示すことができる。一方、企業の採用担当者は、自社社員のFacebook上における友達に対して、転職のオファーをできる。社員の友達がenTree Workをインストールしている場合は、その友達の友達までアプローチすることが可能だ。

 Facebook上の友達数の平均は約130人と言われている。130人分の勤務先と、さらにその友達の勤務先を足し合わせると相当な企業数になる。この膨大な数の企業とのつながりを、いかにシンプルに利用できるかがenTree Workの開発コンセプトだ。

転職希望者は、どのように具体的にenTree Workを使うのか?

画面1●Facebook上で自分とつながりのある企業をビジュアライズする「コネクションマップ」(※画像内の人物名はすべて架空の人物名です)
画面1●Facebook上で自分とつながりのある企業をビジュアライズする「コネクションマップ」(※画像内の人物名はすべて架空の人物名です)
[画像のクリックで拡大表示]

佐原:転職希望者は、友達の勤務先が表示されるenTree Workのページ上で「ここで働きたい」のチェック欄にチェックを入れて、その企業への転職の意志を表明する。企業側は、enTree Workの企業向け管理ツールを使って自社を志望する人物を把握し、興味があればアプローチできる。

 ただし、Facebookの標準機能では企業名から友達を検索することはできない。大勢の友達のプロフィールから勤務先を調べていくのは骨の折れる作業だ。そこで、enTree Workには、勤務先企業名から友達を検索する機能や、自分と企業とのつながりをビジュアライズする「コネクションマップ機能」(画面1)を実装している。

転職希望者が、友達の勤務先以外の企業へアプローチすることはできないのか?

福田:enTree Workでは、自分とつながりのない企業へ入社の意志を伝えることはできない。その点が、転職サイトや人材紹介会社経由での転職活動との差別化要素となっている。企業にとって、enTree Workで入社を希望してきた人は必ず自社社員の友達なので、社員からその人物に関するリアルな情報を得ることができる。

enTree Workにおける採用側向けの機能を教えてほしい。

画面2●enTree Workの企業向け管理画面の社員一覧
画面2●enTree Workの企業向け管理画面の社員一覧
[画像のクリックで拡大表示]
佐原:enTree Workの利用企業に対しては、企業のロゴが入ったWeb管理ツール(画面2)を提供する。管理ツールには、Facebookに登録している自社の社員一覧が表示される。社員がenTree Workをインストールしている場合、採用担当者はその社員の友達にアプローチして転職のオファーを出すことができる。さらに、社員の友達がenTree Workをインストールしていた場合は、その友達の友達にもアプローチできる。

福田:enTree Workは、人材紹介会社などではなかなか見つからないレアな人材を掘り当てることに適している。例えば、ニッチな分野の研究職やエンジニアを採用したい場合は、同分野に従事している社員の大学研究室の友達にアプローチすればよい。

企業から突然オファーが来ることに抵抗を感じる人もいるのでは?

福田:enTree Workで企業側からある社員の友達に転職オファーをする場合、まずその社員の許可が必要になる。さらに、社員の友達の友達にアプローチする際には、社員および社員の友達の2段階で許諾を得なければならない。事前に、社員から転職の意志や、転職オファーの可否を確認してもらえば、トラブルにはならないだろう。

 もちろん、Facebookでプロフィールの公開範囲を「友達のみ」に設定している人に対しては、enTree Workからアプローチできないようになっている。

enTree Workの今後の展開予定は?

福田:現在、ベータテスト参加者を含めて数百人がenTree Workアプリをインストールしている。まずは、大手IT企業数社のみに管理ツールを提供して試験運用を開始する予定だ。ユーザーのフィードバックを反映して、順次機能拡張を行っていく。