日本デジタルオフィスは2010年11月26日、マイクロソフトの「Windows Azure Platform」を基盤とするクラウド型電子書籍出版サービス「J!BOOK」を発表した。PDFをWindows Azureへ登録するだけで電子書籍コンテンツを自動作成できるほか、読者が電子書籍のどの部分をどの順序で閲覧したかなどのログを収集して分析する。このシステムを提供する日本デジタルオフィス 代表取締役の濱田潔氏と、J!BOOKを早期導入したモーターマガジン社 営業開発・電子書籍担当 チーフプロデューサー旭形安生氏に、同サービスの概要とWindows Azure採用の背景を聞いた。

(聞き手は根本 浩之、羽野 三千世=ITpro



「J!BOOK」はどのようなサービスになるのか?

日本デジタルオフィス 代表取締役の濱田潔氏
日本デジタルオフィス 代表取締役の濱田潔氏

濱田氏:電子書籍コンテンツの作成と、読者のログ解析を行う出版業向けのサービスだ。これまで提供してきた電子書籍作成ソフト「DO!BOOK」と分析ソフト「DO!Eye」という既存の仕組みを、Windows Azure Platformへ移行したものになる。

 具体的には、PDF化した書籍データをWindows Azureへ登録するだけで、Flash、Silverlight、iPhone/iPad専用などのビューアで閲覧可能な電子書籍コンテンツの形に変換できる。別途オーサリングツールを用意する必要はない。PDFのしおりはそのまま電子書籍の目次に変換される。書籍内のリンク情報も自動認識される。

 その電子書籍コンテンツを公開した際には、閲覧した読者がどの部分を、何秒間、どのような解像度で閲覧したかといったログをビューアで収集し、Azure側に送信する。Azureに集まったログを解析することで、コンテンツ提供者側は「ヒートマップ」(図1)の形で閲覧頻度を色分けして表示したり、「アクセスログ」(図2)の形で閲覧順序を表示したりできる。この分析結果の表示にはSilverlightを採用することで、使いやすくしている。

図1●閲覧頻度を色分けして表示する「ヒートマップ」
図1●閲覧頻度を色分けして表示する「ヒートマップ」
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図2●読者の閲覧順序などを表示する「アクセスログ」
図2●読者の閲覧順序などを表示する「アクセスログ」
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