中学生、高校生時代から携帯電話を当たり前のように使いこなしてきた“ケータイネイティブ”。そんな新世代が、モバイルアプリの開発に名乗りを上げ始めた。彼らはモバイル市場をどのようにとらえ、そしてどんなモチベーションでモバイルアプリを開発しているのか。第1回は、東京大学発のアプリ開発ベンチャーSCOOPYにインタビュー。東京大学大学院修士課程2年で代表取締役の早川祐太氏と、東京大学OBで社会人経験を経てSCOOPYに参画した企画・ディレクション担当の石岡諭氏に話を聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=日経NETWORK

写真●左がSCOOPY 代表取締役 早川祐太氏。右が同 企画・ディレクション 石岡諭氏
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アプリを開発する動機やきっかけは何ですか。

早川:個人のモチベーションという点で言うと、学生のうちにWeb関係で起業したい、資本がなくても勝負できる分野で事業をやってみたい、という思いがありました。Web関連の技術を中心に勉強してきたなかで、最近はアプリケーションとWebアプリケーションの境が非常にあいまいになってきているというか、同じものになってきていると感じています。私はWebアプリ開発出身ですが、いわゆるアプリのほうも、Webを使ってないものはほとんどないと考えてモバイルアプリの開発に携わるようになりました。そう思うようになったのは大学に入ってからです。

携帯電話を使い始めたのはいつごろですか。

早川:私は高校生から持ち始めた世代です。“ケータイネイティブ”の最初の世代だと思います。私より少し下の世代になると中学生から使っています。だからアプリを開発するとなったときも、携帯電話をターゲットにすることはとても自然なことでした。

携帯電話市場はスマートフォンと“ガラケー”という分け方をされていますが、この状況どうとらえていますか。

石岡:現状のパイの大きさを考えると、ガラケー向けのものを多く扱いたいと思っています。今はモバゲーやGREEのアプリを中心に開発しています。これからiアプリの開発も進めます。

早川:ガラケーのアプリも、iPhoneやAndroidのアプリも根本的な差はないと考えています。それはユーザーの面、開発の面から言えます。「出先でちょっと指先でかちゃかちゃ何かやりたい」というユーザーサイドのデマンドは、スマートフォンでもガラケーでも同じです。開発面でも一つの言語で開発すれば、複数のプラットフォームで使えるといったツールが増えています。プラットフォームごとの壁というのはどんどん薄くなっていると感じています。

これからiアプリの開発に取り組む理由は何ですか。

早川:個人的なイメージの問題かもしれませんが、例えばiPhoneは個人が開発してパブリッシュするという印象を持っています。プログラムの良さというよりは、アイデアや便利さ、ライフハック系で流行していくというイメージがあります。SCOOPYは開発力もあるし、ガラケーアプリ開発の経験があるメンバーもいるので、会社として取り組むのなら、国内市場が大きいiアプリを開発したいと考えました。

石岡:ガラケーは開発者にとって、他のプラットフォームよりも“ビジネスの場”という感じがします。

SCOOPYのメンバーの役割や開発体制を教えてください。

石岡:クライアント側、サーバー側とプログラミングは分業しています。もう一人の学生メンバーがクライアント側のプログラミング担当としてほぼフルタイムで働いています。見た目を決めるデザインについては包括契約で外注しています。頼んだら作ってくれるといった契約です。私は企画をしたり、対外的な交渉などを担当しています。

早川:私は主にサーバー側のプログラミングをしています。ある材料を組み合わせてどれがマッチしそうかブラッシュアップする役割です。PHP(オープンソースの汎用プログラミング言語)で主に開発しています。ガラケーのアプリ開発で使うJava言語は教養レベルで使えます。

石岡:モバイルアプリの場合、通信することが前提となったり、GPSの情報をネットで共有する、といったことがあるため、サーバー側の開発は必須です。そこを早川が担当しています。サーバーサイドの処理が不要なアプリは今後はあまりないのではないか、と思っています。