ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダー)業界で、三井物産子会社のリンクシェア・ジャパンと、楽天子会社のトラフィックゲートの大手2社が2010年5月1日に合併。新生リンクシェア・ジャパンが始動した。出資比率は楽天が36.25%、楽天子会社の米リンクシェアが27.5%、三井物産が36.25%。新会社の代表取締役共同社長となった小宮山氏に戦略を聞いた。
国内ASP最大手となったが、合併の経緯は。
日本のEC(電子商取引)市場、ネット広告市場は堅調に拡大し、アフィリエイト業界も拡大する成長期にある。(合併構想が浮上した)最初の契機は、楽天が5年前に米リンクシェアを買収したときだ。日本ではリンクシェア・ジャパンに三井物産が出資していて、トラフィックゲートには楽天とサイバーエージェントが出資していた。
2社にはそれぞれ特徴があり、リンクシェアはECに、トラフックゲートは会員獲得や資料請求などのリード系に強かった。また、トラフィックゲートは「楽天アフィリエイト」の運営も手掛けていた。ただ、市場が急拡大した創業期は別々にあってよかったが、成長期になると違う戦略が必要になる。
ネットワークシステムもそれぞれ別に展開していたが、大きなネットワークに参加したいというお客様(クライアント企業)が増えている。それぞれのお客様に最大の成果を出してもらうためには3つを統合したほうがいい。そこで楽天、三井物産、米リンクシェア、トラフィックゲート、リンクシェア・ジャパンのステークホルダー5社が、(米リンクシェアのシステムをベースに)ネットワークを統合することで一致した。
さらに、5年、10年単位で見ると、GDP(国内総生産)は欧米、日本では拡大しない。伸びるのはアジア圏だ。そこを取っていきたいという5社の目的が一致して、今回の合併となった。今後はアジア圏に対象地域を拡大して、事業を展開していく。
現時点での統合の進捗状況は。
今は、2社の組織を統合している段階。9月後半にオフィスも一緒になる。ネットワークシステムの統合は、来年後半のローンチを目指して開発を進めている。3つのネットワークの流通総額は合わせて4000億円。パートナー566万サイトを統合していくことになる。そこには大規模メディアから、テールのメディアまで含まれている。
来年には、3つのアフィリエイトネットワークの全部か一部になるかは明確ではないが、お客様が共通IDで使えるようにする。システムの統合は来年後半までに終わらせる。アジア圏へも来年のうちに進出していく。これまでとの大きな違いは、日本、欧米、アジアと世界的にリンクシェアの統一ブランドでやっていくこと。楽天のリソース、三井物産のパイプを使ってアジア圏に展開する。中国に進出する上では、楽天が中国最大手の検索エンジン「Baidu.com」と提携していることが大きい。
日本国内でも圧倒的なナンバーワンを取り、アジア圏でもナンバーワンを目指す。今、そうした企業はないので、これからマーケットを作っていける。