カナダのIIBA(International Institute of Business Analysis)は、2006年から、「ビジネスアナリシス」の知識体系である「BABOK(Business Analysis Body of Knowledge)」に基づいた、「ビジネスアナリスト」を認定するための世界で唯一の資格試験「CBAP(Certified Business Analysis Professional)」を実施している。このCBAP試験に、今年の5月、富士ゼロックス総合教育研究所の伊藤 衡氏が、日本人として初めて合格した。伊藤氏に、合格までの道のりや合格の秘訣などを聞いた。

(聞き手は平田 昌信=ITpro



なぜ、CBAPを受験しようと思ったんですか。

富士ゼロックス総合教育研究所 コンサルティング統括部コンサルティング3部トレーニングパフォーマンスコンサルタントの伊藤衡氏
富士ゼロックス総合教育研究所 コンサルティング統括部コンサルティング3部トレーニングパフォーマンスコンサルタントの伊藤衡氏

 2009年4月に富士ゼロックス総合教育研究所に転職し、BA(ビジネスアナリシス)の講師を務めることになりました。実際に教える前に、社内でBAの研修をいくつか受講したので、せっかく受講したのだからCBAPを受けてみようと考えて、2009年の4月に受験を申請しました。

申請は、カナダのIIBAのWebサイトから?

 そうです。Webで全部できます。しかし、受験資格で引っかかってしまいました。CBAPの受験には、過去4年間で21時間のBAの研修受講と5年で7500時間のBAの業務経験が必要です。その両方に引っかかりました。

 研修受講に関しては、原因がはっきりしていました。私のミスでPMの研修も入れてしまったんです。問題は、業務経験のほうでした。

業務経験はどんな風に入力するんですか。

 プロジェクトごとに、プロジェクトの概要と全体時間、それにBAとは関係のない時間を入力します。全体時間からBAとは関係のない時間を差し引いた時間の合計が7500時間あったらサブミットできる仕組みです。以前プロジェクトマネジャーをやっていたので、過去7年くらいにわたり、自分の案件の記録はかなり細かく付けていました。これをちゃんと調べて、まじめに入力しました。

業務経験を証明できるようなものはいらないんですか。

 いりません。ただし、業務経験を確認できる連絡先は必要です。私の場合は、以前いた会社の社長のメールアドレスと名前を書きました。

業務経験の時間が間引かれる

なにが問題だったんでしょう。

 「要求をドキュメントした」とか「RFPを作成した」といったアクティビティの項目が並んでいて、自分がそのプロジェクトでやったアクティビティの項目にチェックを付けるようになっているのですが、実はその中にはBAと関係ないアクティビティも含まれています。そこにチェックを付けると、その分、業務時間を間引かれてしまう。私も業務時間を間引かれて、7500時間に届きませんでした。

どのアクティビティがダメなのかは、ハンドブックには書いていないんですか。

 ある程度は書いてありますが、不明な部分は残ります。2回目の申請も、研修受講はOKでしたが、業務経験の時間がぎりぎり足りませんでした。CBAPは試験を受けなくても、申請するだけで125ドルかかります。これは金の無駄だと思いました。

それでもあきらめなかった。

 申請してダメだった人は3カ月申請できないんです。3カ月たったら怒りも収まって、12月にまた申請しました。ただ、そのときは仕事が忙しくて、試験のことをほとんど忘れており、全部の項目にチェックしてしまった。当然、業務時間を間引かれて、またしても125ドルが無駄になりました。

それでまた3カ月待った。

 2010年3月に、4度目の申請をしました。このときは、富士ゼロックス総合教育研究所としてCBAPの試験対策に力を入れるという話になったので、仕事モードで受験することになった。CBAPに合格した米国の友人にコツを教えてもらい、ようやく申請が通り、試験にも無事合格しました。

受験するまで、まる1年かかった。申請が面倒なんですね。

 なんかトリッキーですね。2人の推薦人の推薦状も必要ですし。