Chris Pruett氏は、日本在住の開発者である。グーグル勤務のかたわら、自主制作ゲーム「ワンダのレプリカ島」をAndroidアプリケーションとして開発した。
「ワンダのレプリカ島」は110万以上のダウンロード数を記録し、Android上の人気ゲームとなっている。また、ソースコードはApacheライセンスによりオープンソースソフトウエアとして公開されている。
ゲームの背景設定は複雑だ。主人公は記憶を失ったロボットで、Androidのマスコットキャラクターが使われている。主人公の前に現れるのは、指示を与えてくれるカボチャノミズ博士と、謎めいた少女、ワンダ。冒険と戦いを続けるうちに、過去の記憶がよみがえり、この世界の別の姿が顔を見せはじめる。
このように複雑なストーリー展開を見せるゲームだが、外見は昔懐かしい横スクロール型ゲーム。迷路のような洞窟をくぐりぬけ、謎の敵や、断片的な情報を探し求める旅が続く。
このゲームを作り上げたChris Pruett氏と、元同僚でもある安生真氏の対談の形で、「ワンダのレプリカ島」ができあがるまでの話を聞いた。
「Java言語でゲームを作る」ことが最初のチャレンジ
安生:今日は、一人の開発者として、自分が開発したゲームの話を聞かせてくれますか?
Pruett:実は、Java言語でゲームを作るのは今回が初めてでした。それまでJavaで本格的に開発したことがなかったので、Javaでゲームを作るとはどういうことなのか、というところから始めなければならなりませんでした。結局、最後には「これはC++だ」と意識を切り替えたところから、開発がスムーズに進みました(笑)。
もちろん、Java特有の知っておかなければいけない事はありました。例えばメモリアロケーションを多用するとGC(ガーベジコレクタ)が動いてゲームに影響してしまうとか。
ゲーム専用機の上で開発する場合、ゲームコンソールとソフトウエアの間にはなにもなく、OSなどに触ることは普段はありません。まさに、ハードウエアの上に直接ゲームを作っていく感覚です。それがAndroidでは大きく変わりました。