Chris Pruett氏は、日本在住の開発者である。グーグル勤務のかたわら、自主制作ゲーム「ワンダのレプリカ島」をAndroidアプリケーションとして開発した。
 「ワンダのレプリカ島」は110万以上のダウンロード数を記録し、Android上の人気ゲームとなっている。また、ソースコードはApacheライセンスによりオープンソースソフトウエアとして公開されている。
 ゲームの背景設定は複雑だ。主人公は記憶を失ったロボットで、Androidのマスコットキャラクターが使われている。主人公の前に現れるのは、指示を与えてくれるカボチャノミズ博士と、謎めいた少女、ワンダ。冒険と戦いを続けるうちに、過去の記憶がよみがえり、この世界の別の姿が顔を見せはじめる。

写真1●「ワンダのレプリカ島」の開始画面
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写真2●登場人物、カボチャノミズ博士。主人公のAndroidに指令を与える
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写真3●登場人物、謎の少女ワンダ
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 このように複雑なストーリー展開を見せるゲームだが、外見は昔懐かしい横スクロール型ゲーム。迷路のような洞窟をくぐりぬけ、謎の敵や、断片的な情報を探し求める旅が続く。

写真4●複雑な地下通路を、敵キャラクターを倒しつつ抜けていく
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写真5●戦闘シーン
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写真6●Androidが地上でワンダに出会う場面
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 このゲームを作り上げたChris Pruett氏と、元同僚でもある安生真氏の対談の形で、「ワンダのレプリカ島」ができあがるまでの話を聞いた。

(司会、構成は星 暁雄=ITジャーナリスト)

「Java言語でゲームを作る」ことが最初のチャレンジ

安生:今日は、一人の開発者として、自分が開発したゲームの話を聞かせてくれますか?

Pruett:実は、Java言語でゲームを作るのは今回が初めてでした。それまでJavaで本格的に開発したことがなかったので、Javaでゲームを作るとはどういうことなのか、というところから始めなければならなりませんでした。結局、最後には「これはC++だ」と意識を切り替えたところから、開発がスムーズに進みました(笑)。

 もちろん、Java特有の知っておかなければいけない事はありました。例えばメモリアロケーションを多用するとGC(ガーベジコレクタ)が動いてゲームに影響してしまうとか。

ゲーム専用機の上で開発する場合、ゲームコンソールとソフトウエアの間にはなにもなく、OSなどに触ることは普段はありません。まさに、ハードウエアの上に直接ゲームを作っていく感覚です。それがAndroidでは大きく変わりました。