クラウド分野では、グーグルやアマゾン、マイクロソフト、さらにIBMといった強いプレーヤーがすでに存在します。そうした競争環境で、どのように儲かる仕組みをつくっていくのですか。
一番重要なのは顧客アセットです。先ほどお話した通り、既存のお客様に対して、クラウドソリューションを提供するような展開をまずすべきでしょう。その上で、我々のソリューションを広げられるようなお客様を持っている企業とのパートナーシップも考えていきたい。もう少し踏み込んで、M &A(合併・買収)という形になるかもしれません。
具体的なM&Aの案件は見えているのですか。
いえ、「今この企業を」というわけではありません。ただ、我々の顧客アセットを補完するお客様を持っている企業はいくつかありますので、その可能性についてはよく考えたい。今すぐというよりも、もう少し時間をかけようと思っていますが。
もちろん、緊急にやらなきゃいけない場合もあるかもしれません。国内のお客様が国外に出るとき、現地での運用や保守が必要になります。残念ながらNECが現地にその機能を持っていないのなら、時間をおけないので厚いサポートができる現地企業に対するM&Aもあり得るでしょう。
Itaniumサーバーは継続
昨年取り組んだ国内の営業改革の進捗はいかがですか。また、どのように評価していますか。
海外に出て行くお客様だけでなく、国内のお客様に対しても、手厚いビジネスの展開をしっかり考えていきます。ただ今回の営業改革は、1年かけてやっと格好がついたというところですね。これから実績を出していく必要がありますが、特に中堅・中小のお客様向けのマーケティングを強化するなど、まだまだやるべきことがたくさんあります。
昨年、国策プロジェクトから撤退したスーパーコンピュータやItaniumサーバーについてNECがどうするのか、ユーザー企業としては気になるところです。基本的なお考えは。
スパコンでは、ベクトル型の次機種を開発することを既に決めています。ベクトル型の演算のメリットと、スカラーの規模の経済が働くメリットのどちらがよいのかは悩むところですが、それはお客様自身が判断されることです。NECとしては、継続性を考えて、ベクトル型の開発は続けます。これは決定事項です。
Itaniumサーバーについても、NECはUNIXサーバーであるNX 7700iシリーズ、メインフレームであるACOSシリーズで、Itaniumを採用しており、多くのお客様の支持をいただいております。Itanium2 9300シリーズの採用も含め、今後も継続的な製品強化を計画しています。
遠藤 信博(えんどう・のぶひろ)氏
(聞き手は、木村 岳史=日経コンピュータ)