IT関連コンサルティング大手の米アクセンチュアが、クラウドコンピューティングを含め、企業のグローバル化を支援する各種サービスを強化している。テクノロジー部門のCOO(最高執行責任者)であるPascal Manhes氏に、世界の企業の動向や、これからのIT部門の役割、アクセンチュアが提供できるサービスなどについて聞いた。(聞き手は志度 昌宏=ITpro)

世界各地のCIO(最高情報責任者)/CTO(最高技術責任者)に会っていると聞く。彼らに共通のニーズは何か。

 ITコストの削減が最重要課題であることが世界中で共通だ。より少ないコストで、より大きな成果を実現することを求めている。ハイパフォーマンスな会社になるために、競争優位性を実現するための方法を模索している。

 地域や企業によって、CIO/CTOの位置付けや役割は様々だ。だが彼らの役割が、ITをテコにビジネス面での実績を高めるための仕組みを事業部門に提供することだという色彩が強まっていることは間違いない。特にCIOは、事業部門のニーズを理解し、それをITとして要件にまとめ上げるという役割が、より強くなってきた。

 CTOは、テクノロジー指向が強いことに変わりがない。だが、ブレークスルーを引き起こすためのアイデアを検討し、何が企業にとってメリットがあるかを常に考えている。

アクセンチュアとしては何が提供できるのか。

 私が担当するテクノロジー関連では、システムインテグレーション、アプリケーションアウトソーシング、インフラアウトソーシング、テクノロジーコンサルティング、の四つのサービスラインがある。いずれにおいても、CIO/CTOのニーズを満たせるだけの準備ができていると考える。

日本企業にはグローバル化に向けた変革が必要

 この中で、日本企業に向けて強調したい分野は、(1)グローバル化、(2)IFRS(国際財務報告基準)、そして(3)クラウドコンピューティングだ。今、日本企業に最も求められていることは、グローバルにオペレーションできる企業になるための変革だ。これまでもグローバルに機能するオペレーションプロセスの実現を目指してきたかもしれないが、M&A(企業の統合・買収)後もローカルなプロセスをそのまま残しているのが実状ではないか。

 グローバルなプロセスやシステムを、国内拠点や海外拠点にどう導入していくかをともに考えたい。クラウドとIFRSは、それを実現するためのテコだと言える。すなわち、標準化と共通化によって、個々の企業にユニークなプロセスへの移行をうながしていく。

 例えばIFRSは、単に財務会計報告を国際基準に合わせるということにとどまらない。必ず、「単一財務報告システム(シングル・フィナンシャル・レポーティング・システム)」の構築へとつながっていく。つまり、グローバルに同じプロセスを実現するためのチャンスだということだ。

グローバル化に向けて、なすべきことは何か

 まずは、グローバルオペレーションの最適化に向けて何ができていないのか、そのギャップを認識することだ。日本本社に属する海外事業のマネジメントと各地域のマネジメントの間にあるギャップを理解し、そこに共通化に向けた可能性を見いだせれば、グローバル化への道程の半分は済んだも同然だ。