2009年末に政府は予算案や新成長戦略基本方針を発表したが、IT分野についての言及は少ない。IT政策はどうあるべきか。
IT政策というと、インターネットや通信行政に目が向きがちです。通信も含めた情報サービス産業全体の話にならないことが多いのは確かです。
政府や官僚は意識を変えなくてはなりません。国内の調整役ではなく、いかに日本に有利な国際ルールを作るかに注力すべきです。金融庁であれば、国内の取り締まりだけではなく、BIS規制や会計基準などの国際ルールを、日本企業に有利な方向に近づけることに力を入れなくてはならない。
IT分野も同じです。国内の市場にばかり気を取られ、限られた案件を取り合う時代ではない。今後、特にアジアのIT投資はますます活発になるはずです。この状況のなか、日本のIT企業が存在感を高めるためにはどんな国際ルールや標準が望ましいかを、政府や官僚は考えなければならない
アジアでは、国内の大手IT企業をしのぐ規模にまで成長するIT企業も出てくるでしょう。いつの間にか日本のIT企業が競争できなくなり、ついには買収されてしまう、といったことになりかねません。
2010年度の政府予算案についてはどう見ているか。
私は評価しています。無駄な公共投資を減らし、生活者にかかわる分野に配分できたのではないでしょうか。
ただ長期的な視点での投資をもっと増やしてもいいかもしれません。教育とイノベーションです。
スーパーコンピュータの研究開発予算も計上されました。日本企業の技術力、開発力を失わずにすみました。ただ、まだ十分とはいえないかもしれません。
Twitterは日本人に向いている
“ツイッター議員”としても有名だ。
2009年10月まで民主党の青年局長を務めていました。若い有権者に選挙に来てもらう、関心を持ってもらうための方策を検討していたのです。
インターネットを使わない手はありません。インターネット選挙の解禁については具体的な議論を始めています。そのなかでTwitterを利用してみたわけです。
手応えは。
反響は大きいですね。Twitterは日本人に向いていると感じています。一時、英語でも書き込んでいたのですが、英語で140文字では文章に盛り込める情報が少ない。日本語なら140文字でもかなりの情報を書き込めます。漢字一文字でも意味が分かる言語だからでしょう。
鳩山首相も始めた。
原口一博総務大臣も始めています。今まで関心がなかった人が政治に関心を持つきっかけになればと思います。
ネット献金も普及させたい。企業献金は全廃できるはずです。ネット献金なら、献金の記録がすべてサーバーに残るため、不明瞭な献金もなくなり、政治の透明度が高くなることも期待できます。
藤末 健三(ふじすえ・けんぞう)氏
(聞き手は、福田崇男=日経コンピュータ、中村建助)