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キーパーソンに聞く!ライフログの法・制度の課題

[映像]映像ログ活用は技術開発と啓蒙の両輪で進める

京都大学 学術情報メディアセンターディジタルコンテンツ研究部門マルチメディア情報研究分野 教授
美濃 導彦 氏

2010/04/09 日経コミュニケーション

 ライフログは,携帯電話のセンサー情報やWebのクッキー情報から集まってくるだけではない。カメラによって撮影した映像を解析することで,ヒトやモノの動きを知ることが可能だ。2007年度から3年間,カメラなどを使って実世界を観察する「センシングWebプロジェクト」を率いた京都大学学術情報メディアセンターの美濃導彦教授に,カメラのプライバシ問題を聞いた。

(聞き手は中道 理=日経エレクトロニクス

センシングWebとはなにか。

京都大学 学術情報メディアセンターディジタルコンテンツ研究部門マルチメディア情報研究分野 教授 美濃 導彦 氏
[画像のクリックで拡大表示]

 カメラというのは映像の形で人が見る用途にも使えるだけでなく,映像をコンピュータで解析することで,センサーとして使える。例えば,人や車の通行量や移動方向を検知することが可能だ。最近ではインターネットに直接つながるWebカメラが安価に手に入るようになってきた。カメラの映像をインターネットに公開し,これを世界中の人たちが様々な目的で解析できるようにするというのが,センシングWebの発想だ。この環境が整えば,面白いサービスが生まれてくるに違いない。

しかし,撮ったままの映像をインターネット上に公開するのはプライバシ上の問題がある。

 センシングWebを研究するに当たり,社会学者や弁護士にも議論に参加してもらい,どうすれば合法と言えるのかを話し合った。

 そこで分かってきたのが,カメラで動画を撮る際,撮ることの正当性とプライバシを天秤にかけて判断する必要があると言うことだった。コンビニエンス・ストアに行くと,防犯カメラがあり,映像を録画をしているが,これは防犯という目的があり,それが来店者や店の運営者の利益になっていることから,設置のコンセンサスが得られている。

 センシングWebは,そもそもどんな目的に使うかを特定しないところに面白さがある。設置の目的が分からない以上,そもそも正当かどうか判断できない。

 一方で,センシングWebで狙っているのは,カメラをセンサーとして利用することだ。映像をそのまま流せば,確かに監視になってしまい人の自由な行動を阻害してしまうかもしれない。しかし,映像を解析し,「人が1分間に10人,北に向かっている」という情報であればプライバシ侵害には当たらないのではないか。そこで考えたのが「変身カメラ」という技術だ。

どのような技術なのか。

 映像から人の画像を消し,シンボル化した情報を表示するというものだ(図1)。具体的には,誰もいない状態の画像を用意しておき,この画像の上に映像から解析した人の動きなどの情報を載せるアプローチを取った。これにより,映像に人の姿は一切映らない。

図1●「変身カメラ」の映像
左が処理前の映像,右が処理後の映像。人がいない画像に対して,カメラから抽出した人の場所を棒の形で表示している。
[画像のクリックで拡大表示]

 昨年度には,京都市のショッピング・モール「新風館」でこの技術の実証実験を実施した。狙いは,技術の蓄積と社会の受容性の評価だ。アンケートを実施したところ,8割程度の人は,シンボル化して本人が分からないようになっていれば,気にならないと答えている。

しかし,実サービスを考えた場合,利用目的が明確でないカメラの運用は違法と言われる可能性がある。

 赤外線センサーを考えてほしい。赤外線センサーでは,1分間に通った人の数をカウントできるが,プライバシ侵害という話にはならない。そこを通ったのが誰なのかは分からないからだ。

 そこで映像が出ないカメラ,いわば実世界センサーと呼ぶようなものを作るべきだと考えている。つまり,カメラで撮影はしているが,すぐに情報はシンボル化され,カメラの外にはプライバシを含んだ情報は流れないというものだ。この技術が確立できれば,問題はなくなるのではないか。

 一方で,「あのカメラはプライバシを侵害しないから大丈夫」と思ってもらえるように,社会の意識を変えていく必要があるだろう。監視カメラと,区別できるように実世界センサーには特徴的な色を付けるなどの取り組みが考えられる。

 ただし,普段は実世界センサーであっても,災害時や犯罪発生時にはシンボル化されてない情報が写るような仕組みが必要という声もある。ここはさらに議論を詰めていく必要がある。

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