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編集長インタビュー

[前編]サービスはハードウエアになる 端末の先のクラウドにこそ価値

頓智・(トンチドット) CEO 井口 尊仁 氏

2010/03/18 日経コンピュータ
出典:日経コンピュータ 2010年2月3日号pp.48-50
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
目次一覧
[前編]サービスはハードウエアになる 端末の先のクラウドにこそ価値

「コンピュータは再定義されるべき時期に来た」。頓智・(トンチドット)の井口尊仁CEOは断言する。井口氏はiPhone用アプリケーション「セカイカメラ」の生みの親だ。ネットと現実の融合として、世界から注目を集めた。ネットサービスの進化がハードの進化を促すと予言。自らもセカイカメラ専用機を開発中と明かす。

1月の米国家電イベント「CES」では、ネットサービスを前提にしたクライアント機器が一斉に登場した。どう評価するか。

 CESには私たちも参加したのですが、なにか視点がずれている気がしましたね。Webのおかげで、今では物の作り方や販売ルートは変わりました。マーケティング手法もプロモーションもそうです。なのにでっかいブースを構えてチャンチャカチャーンとやること自体が、そもそもイケてないんじゃないかと思うんです。

 CESは良くも悪くも「金物」を扱っているイベントです。これからのITはこうなる、といった動きではなく、結果として表れた動きを見ることはできます。ITの進化の入り口か出口かというと、出口ですよね。むしろCESに出ていない動き、「ノットCES」にこそ注目するべきです。

すると「入り口」に当たるのは?

 例えば「Crunchies」でしょう。Crunchiesはその年の注目スタートアップやサービスを表彰するイベントで、シリコンバレーのアカデミー賞とも言われます。過去はグーグルやフェースブックも受賞した賞です。

頓智・の「セカイカメラ」は、iPhoneで手軽にAR(拡張現実)を楽しめるとして注目を集めるサービス。今回のCrunchiesには、グーグルらと並んでセカイカメラもノミネートされた。

 残念ながら受賞は逃しましたが、とてもいい経験をしました。CESよりもCrunchiesのほうが、明らかに世界を創っていましたね。

 何かよくわからないけど技術が面白いから評価しようという熱気と、参加者同士のクリエイティビティがぶつかり合うのを感じました。技術自体も優れていた。必ずしも製品化の計画やマーケティングの戦略が明確なものばかりではありません。利用者の数も数万人からせいぜい20万人という規模のものがほとんどです。決してユニバーサルなサービスばかりではなく、最初は開発者の周辺にいる友人や会社の同僚向けのサービスだったりします。

 しかしこれが重要なのです。最先端にいる人たちが「面白いよ」と伝え合う形で広がっていって、ある日いきなりしきい値を超えて利用者がとんでもない規模になっていく。YouTubeにしろFacebookにしろ、すべてそうでした。最近ではTwitterがそうですね。

しかしCrunchiesでネットサービスの最新動向はわかっても、ハードの動きはわからないのでは?

井口 尊仁(いぐち たかひと)氏
写真:中島 正之

 ハードウエア=金物という視点で見るとそうかもしれません。しかしネットサービスが進化すると、ハードウエアのあり方に影響を与えるのは明らかです。

 なぜならネットサービスは「プラットフォーム」になることを目指すからです。自社のサービスを利用者がアプリケーションを使うときの土台にする。あるいは利用者同士が情報を交換したり遊んだりして、互いにつながるための「場」を提供する。特に最近のサービスは「Do It Yourself」です。ソーシャルな場を用意していろいろな価値をつなぎ合わせる。利用者が増えるほどプラットフォームが豊かになるという相乗効果が働いています。

 すると今までアプリケーションだと思っていたものが、事実上のOSになる。ITのアーキテクチャーを下からハードウエア、ネットワーク、アプリケーション、サービスなどと分けるとすると、上層がどんどん下層に下りていっています。グーグルのWebブラウザ「Chrome」なんか、まさにそうでしょう。彼らは今、「Chrome OS」と呼んでいるわけですから。

 Facebookにしても、アプリケーション開発環境を開放する「プラットフォーム戦略」で急成長しました。ソーシャル系サービスを開発するなら、今ではFacebookを利用しないことはあり得ません。

いつでも自社のサービスを使ってもらうための仕組みを用意する、と。

 そうです。プラットフォームになるのは、自社のサービス上であらゆるアプリを動かすため。それがマネタイズ(収益化)の入り口になるからです。

 この戦略を突き詰めると、自社のサービス自体をマシンにしたいと考えるのは自然です。常に使ってほしいわけですから。持ち運べて、日常的に必ず使ってもらうために、ハードウエアにするという方法はあり得る。

 事実、ネットサービスの最上位にいる連中は、すでにハードウエアを作っていますよね。アップルはもちろんiPhoneだし、アマゾンは電子書籍端末の「Kindle」を出しています。グーグルはスマートフォンの「Nexus One」、マイクロソフトも音楽プレーヤーの「Zune」を出している。

いずれTwitterもハードウエアになる

 ただしプラットフォームの層は、FacebookやTwitterへとすでに代替わりしつつあります。だからこの次に来るのは、例えばFacebookとかTwitterがハードウエアになることですよ。Crunchiesに登場するサービスこそ、2~3年後にハードウエア層に載るべきプラットフォームの端緒なんです。

 「パソコンの父」と呼ばれるアラン・ケイは、「ソフトウエアに真剣に取り組む人間は、ハードウエアも同時に考えないといけない」といった趣旨の発言をしています。新しいソフトやサービスでどういう未来や新しい生活をつくるかを考えるときに、アプリケーションだけでは完結しない場合がある。

 ITの世界は、どんどんクラウドへ移行しています。アップルやグーグルのハードは、どれも、端末そのものというよりその先にあるクラウドにこそ価値があります。クラウドの価値を引き出すために、端末側のアプリケーションやハードウエアはどうあるべきか、この視点で設計されています。

 極端なことを言うと、今のハードウエアは全部だめなんですよ。今のハードウエアはことごとく否定されないといけない。カメラもオーディオも場合によっては冷蔵庫や掃除機、あるいは車とか飛行機、いろいろなハードが、クラウドに対応したアーキテクチャーにすべて書き換わらないといけない。そうでないと、これからは利用者に対する価値を生み出せないと思います。

頓智・(トンチドット) CEO
井口 尊仁(いぐち たかひと)氏
国内ベンチャー企業を経て2008年に頓智・を創業し「セカイカメラ」開発に着手。同年9月にTechCrunch50ファイナリストに選出され全世界で話題に。2009年12月には世界77カ国でセカイカメラをリリース。同時にITのアカデミー賞と称される「Crunchies 2009 Award」にアジアから唯一選出される。

(聞き手は、玉置亮太=日経コンピュータ)

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