ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズとNTTドコモは2010年1月21日、日本国内でAndroid搭載スマートフォン「Xperia」を発表した。このXperiaは、日本市場に特化せず、世界各国で販売するグローバル市場向け製品である。
 実際に触れてみると、これまでの携帯電話とは違った存在感がある。スマートフォンとして現在までで最も成功したライバル製品のiPhoneシリーズと持ち比べてみても、Xperiaには単なる追従者とは違う“主張”が感じられる。
 例えば、Xperiaを手に持ってみたときの重さ感。スペック上の重量はiPhone 3GSが135グラム、Xperiaは約139グラムとほぼ同じであるにもかかわらず、XperiaのほうがiPhone 3GSよりも軽く感じる。本体のデザイン、素材の選択、そしてソフトウエアの作り込みなど、他のスマートフォンとも、従来の日本国内向け携帯電話とも違う、別の水準で作られていると感じる。
 筆者がXperiaに触れて感じた「何を考え、どのようなやり方で開発したのだろう」という素朴な疑問を、本製品を作った開発者3人にぶつける機会を得た。対応いただいたのは、商品企画担当の安達氏と、インダストリアル・デザイン担当の鈴木氏、ソフトウエア開発担当の川上氏。Xperia開発の実際とその思いを聞いた。

(聞き手は星暁雄=コモンズ・メディア、人物写真は菊池くらげ)

「検討して、だいたい“一番上”のスペックに」

CPUの動作周波数や画面の解像度など、Xperiaのスペックは、現時点で発売済み、または発売が予定されている製品群の中でかなりのハイスペックです。このスペックを選んだ理由は?

商品企画担当の安達氏
写真●商品企画担当の安達氏

安達: この製品の基本的な考え方は、最高のエンタテインメントの体験を提供したいということです。そのために必要なスペックは何かということを議論してきました。モノとしての魅力をストレートに表現するには「ハイスペック」は分かりやすくて良い。スペックを魅力に感じてもらい、手にとって使ってもらうことで、さらに魅力を知ってもらいたいと考えました。

川上: ソニーグループのDNAとして、まずハイスペックなものを実現したい、上のスペックを実現したいと考えることがよくあります。その製品でできること、変わることを可能な限り知っていただきたいという思いです。

例えば画面サイズ4インチ、という数字を決めた背景にはどのような議論がありましたか。

安達: 小さいほうでは3.5インチ、大きいほうは今のものよりも大きいものというように、いろいろな議論をしました。その中でベストな選択をしました。

画面の解像度に、854×480ピクセルを選択した理由は?

安達: AV(オーディオ・ビジュアル)系を指向したパッケージングということで、ハイビジョン動画でよく用いられる16:9のアスペクト比を意識して決めました。フルワイドVGAというプロファイルです。

川上: 検討段階では、フルワイドVGAのプロファイルがAndroidにありませんでした。いろいろ苦労して、Androidでもこの解像度をサポートするという方向へ持って行きました。