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編集長インタビュー

日経コンピュータ
2010/02/04
止めるのは難しい、クラウドの非対称性を認識せよ

 「クラウドコンピューティングは利用するのは簡単だが、利用を止めるのは難しい。この点を考えているだろうか」。米アクセンチュアの研究機関であるテクノロジーラボでチーフサイエンティストを務めるキショア・スワミナサン氏は、システム部門にこう疑問を投げかける。米国の最新事例を挙げながら、「クラウドの活用は複雑になっている」と同氏は分析する。(聞き手は、木村 岳史=日経コンピュータ編集長)

2009年から10年にかけての企業システムの分野のトレンドをどうみているか。

 2009年はクラウドコンピューティングが浸透したのは間違いありません。10年はクラウドコンピューティングを利用する企業を取り巻く状況が、より複雑化するとみています。すでにいくつか問題が起こり始めている。

 企業システムは一度、使い始めると、利用を止めることはとても難しい。クラウドコンピューティングも同じです。例えばシステムにデータを蓄積してしまうと、別のシステムに移行することは簡単ではありません。クラウドコンピューティングは簡単に利用が始められる一方で、利用を止めるは従来と同様に難しい。非対称の性質を持っているとシステム部門は認識すべきだと考えています。

利用部門が「勝手に」導入して、手がつけられない

 簡単に利用を始められるというメリットは、ITベンダーによる囲い込み以外の問題をシステム部門にもたらします。システム部門が知らない間に、利用部門が勝手にサービスを利用し始めるという問題です。

 米国ではすでに手が付けられなくなった企業もあります。ある企業の社内で、五つの部門が勝手にそれぞれ米セールスフォース・ドットコムのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を利用していたのです。システム部門は各部門のシステムを統合しようとしましたが、できなかった。各部門が勝手にカスタマイズをしていて、同じセールスフォースのSaaSといっても全く別のサービスになっていたからです。こうなるとシステム部門はコントロールできなくなります。

対処法はあるのか。

 システム部門が社外のサービスでも利用を妨げる時代ではありません。社外のサービスの活用を促進しながら、ITガバナンスを確立するのが一番有効な方法です。この方法の一つとして米国では今、企業内で利用できるサービスの「カタログ」を作成するシステム部門が現れています。

 カタログ上にはあらかじめ、セールスフォースの提供するCRM(顧客情報管理)や、米アマゾン・ウェブ・サービシズの「Amazon EC2」といった主要なサービスを用意しておきます。カタログの管理はシステム部門が担当する。こうすれば、利用部門は社外のサービスを利用できるうえ、システム部門が利用部門の状況を把握できるようになります。

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