売上高1.5兆円は必達 経営も開発もスピード重視

自ら改革の陣頭指揮を執る。今年7月から社内にカンパニー制を導入。任命したカンパニー長に権限を与えて意思決定のスピードを上げた。海外事業拡大に向けて積極的に買収を進め、「倍速開発」をスローガンに、労働集約的ではない、新しい仕事の進め方の実現を目指す。狙うのは世界でトップ5のIT企業。実現に手応えを感じている。

今年7月からカンパニー制を導入されました。

 お客様視点で、ワンストップでうまく対応できる組織を考えた結果になります。典型的なのは旧法人分野です。

 国際事業本部と統合して「グローバルITカンパニー」を新設しました。以前は国内と国外で担当が分かれていたので、グローバルに進出したお客様を一体でサポートするのが難しかった。

 旧公共分野と旧金融分野をまとめた「パブリック&フィナンシャルカンパニー」は、いわゆる社会システムを提供するという意味で共通しています。

 旧公共は政府、自治体だけでなく、医療や独立行政法人も担当していましたし、金融の決済機能と結びついた新しい社会システムが望まれている、という背景もあります。

もう一つの「ソリューション&テクノロジーカンパニー」は、もともと社内の技術支援組織でした。

 社内の技術支援が多かった「基盤システム事業本部」と、業種・業態に依存しないソリューションを提供する「ビジネスソリューション本部」を統合しました。今後の展開にすごく期待しています。

 クラウドコンピューティングの進展で、ITインフラそのものがサービス化された商材になります。これを事業として確立させるため、ソリューションやインフラ、ソフトなどを開発していた部隊を集め、一つのカンパニーにしたのです。

クラウドを重視していらっしゃるのですか。

 クラウドの到来はチャンスです。20年くらい続く大きな流れになるでしょう。

 ネットワークにコンピュータを組み込んで、ネットワークの高付加価値化を図るのが、データ通信サービス事業の目的でした。当社は、クラウドやSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)を提供するために作られた会社なんですよ。

カンパニー制で、屋上屋を架すことになりませんか。

 そんなことはありません。一人の社長が全事業本部を統括するほうが難しいのです。

 NTTデータはNTTから分社した当時、売上高が3000億円に満たない会社でした。今は連結で1兆2000億円に近付こうとしています。マネジメントの方法が同じでいいわけがない。

 グループ会社は144社あります。きちんと区分けしてカンパニーの傘下に置き、事業本部と並列の存在としてカンパニーの戦略を実施していくようにしました。

 後で気付いたのですが、体内時計の時間軸が近い組織を集めることができたのです。いろいろな施策を打つときに1日、1時間を考える組織と、1年単位で考える組織では話が合わないのです。

 グローバルITカンパニーの製造業のお客様は、四半期単位で物事を考えます。公共や金融はもう少し長い。

 公共で1年、2年がかりのプロジェクトは当たり前。金融機関の勘定系システムなどでは、共同センターの利用を決めてから2、3年後に稼働することもあります。