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情報システム

スペシャルインタビュー

日経コンピュータ
2009/12/17
谷島 宣之、吉田 洋平=日経コンピュータ

ぶっとんだ発想をだそう

 「情報爆発をポジティブに受け止め、日本の強みを生かした技術を開発していこう」。東京大学の喜連川優教授はこう呼びかける。創立50周年を迎える情報処理学会の副会長を務める同氏は、「IT産業界の人々も交えて、コンピュータの価値をアピールする活動をしていきたい」と語る。(聞き手は谷島 宣之、吉田 洋平=日経コンピュータ、写真は菅野 勝男)

「情報爆発」の研究とは一体何をするのか。

 情報を扱う技術として、紙や印刷が生まれ、インターネットができ、World Wide Webが作られてきました。Webが登場したあたりから、流通する情報の量がぐーっと増えています。本当に物すごい増え方ですから、これを情報爆発と呼んでいます。

 爆発というと、悪くとる方もおられますが、我々は「情報爆発をポジティブに捉えよう」という考え方で研究を進めています。2004年、文部科学省に「情報爆発」というプロジェクトを申請し、2005年に認められてプロジェクトが始まりました。経済産業省の情報大航海プロジェクトは、2006年にコンソーシアムを作り、2007年からプロジェクトが始まっています。これも情報爆発に対応したものと言えます。

(写真:菅野 勝男)

 2005年に米国でも同様の活動が始まっていますから、同じ時代背景のなかで、世界の情報処理研究者が似た問題意識を持って考えてきたのかな、という気がしています。米IBMが言い出した「Smarter Planet」も近い内容ではないでしょうか。

サイバーフィジカルに注目

 それでは何を研究するかですが、注目しているのは、「サイバーフィジカル」と呼ばれる分野です。人間の動きや振る舞いを取り込んだITサービスの仕組み、と言えばよいでしょうか。ここは情報爆発の典型と言えます。

 例えば、加速度センサーを人間に付けて、そのセンサーから得られる行動情報を分析する。ある人の日々の運動量から健康状態を判断するとか、介護が必要な方の動きをきちんと把握するといったことができます。

 実際にセンサーを使った実験をしてみると、人の動く領域や動き方はそれほど変わらない、ということがわかる。そこで、その人がよく立ち寄る場所に関する情報を探し出して渡してあげる。「自分に関係のあることばかり」「すごく便利」と実感してもらえます。センサー以外に、PASMOやカーナビとの連動も研究しています。これらの情報を組み合わせて、人の動きを正確に把握できるようになってきました。

(写真:菅野 勝男)

 ただし、扱う情報は爆発的に増えます。1時間必死になって文章を書いても書ける量は知れています。ところが機械に話させる、つまりセンサーを使った瞬間、情報は無限大に大きくなってくる。仮に2000万人に加速度センサーを付けるとすると、集まる情報は10P(ペタ)バイトぐらいになります。

 この数字を言うと、「巨大すぎて今のITには負担が大きすぎる。処理できない」とおっしゃる方が出てきます。そこを処理するために、どう工夫するか。また、「自分のプライバシーを売り買いするんですか」という話にもつながっていくので、制度論から丁寧に議論しなければなりません。解決すべき点は色々とあるわけですが、「2000万人に加速度センサーを付ける」というぐらい、ぶっ飛んだことを目指さないと面白くないでしょう。

>>グーグルがやることは絶対にやらない
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