Linuxの創始者、リーナス・トーバルズ氏へのインタビューの第3回。今回は,日経SYSTEMSからの質問に答える。「Linuxのコミュニティが与えた最も大きな影響は」との問いに、オープンソースやフリーソフトを推進する革新的な人々と、ビジネスの世界を橋渡ししたこと、とリーナス氏は答える。(聞き手は森重和春=日経SYSTEMS編集)

 Linuxはエンタープライズ・システムの開発に大きな影響を与えてきました。中でも最も大きい影響は何だと思いますか。

 我々Linuxのコミュニティが与えた最も大きな影響は、オープンソースやフリーソフトを推進する革新的な人々と、ビジネスの世界を橋渡ししたことでしょう。

 商用のプロプライエタリなソフトウエアとフリーソフトの世界の間には争いがありましたし、今でもその争いをしている人たちはいます。だからといって勘違いしないでください。Linuxプロジェクトはその争いに参加したことはありません。商用ソフトが悪者なわけでも、プロプライエタリが邪悪なわけでもありません。

 私は、オープンソースは技術的によりよい仕事をするための手段だと思っています。オープンであれば、人々が一緒に仕事をすることで開発が効率的に進み、よりよい成果を上げることも可能になるでしょう。商用ソフトの会社だってそうです。彼らは、Linuxを使うことで非常に製品開発がやりやすくなったのではないでしょうか。

リナックス・ファウンデーション フェロー
Linus Torvalds(リーナス・トーバルズ)氏
1969年12月生まれの39歳。ヘルシンキ大学コンピュータサイエンス学部の大学院生だった1991年秋、UNIX互換OS「Linux(リナックス)」の開発を始める。ソースコードをインターネットで配布し、共同開発するボランティアチームを組織、1994年春にLinux V1.0を世に送った。米トランスメタに勤務しながらLinuxカーネルの開発や保守を手掛けてきたが、2003年から、Linuxの普及を目的とする NPO(非営利団体、現The Linux Foundation)に移籍して開発を続けている。