戦略的業務にはERPパッケージを適用しない
非戦略的な業務プロセスはERPパッケージの業務プロセスを採用しても構わない。注意が必要なのは、戦略的な業務プロセスにまでERPパッケージを適用してしまうことだ。

独SAPや米オラクルのような大規模なERPパッケージは、成熟度が高く機能も豊富なため、戦略的な業務プロセスにも適用できてしまう。だが戦略的なプロセスにERPを適用してしまうと、業務プロセスが安定的になってしまい、変化が起こった際に迅速に対応できなくなる。ERPパッケージを適用した業務プロセスはイノベーションを起こしにくい。
業務プロセスの標準化は、業務の担当者が主導して進めるべきだ。その作業には2年はかかると考えた方がよい。ERPパッケージと一緒に提供されるBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)ソフトがある。これを利用する場合も、ERPの導入と業務プロセスの標準化は明確に分けて考えるべきだ。
ERPパッケージを選択する際の注意点は。
まずは「ERPパッケージの導入ありき」で考えないことだ。自社にとってERPパッケージが本当に必要かどうかを、プロジェクトに着手する前に検討することを勧める。ERPパッケージを導入した後に不満を持つ企業の中には、ERPパッケージの導入がプロジェクトの目的になった企業が多い。
ERPパッケージは高価だし、融通も利きづらい厄介なものだ。導入すべき正当な理由が見つかるまで、導入を決めない方がよい。
ERPの導入が決まったなら、次に着目することは、各ERPパッケージが持つ機能と自社の業務との適合性だ。独SAPの製品にしろ、米オラクルの製品にしろ一長一短がある。ERPパッケージを適用する業務プロセスのそれぞれについて、どのパッケージが適合するかを見極めなければならない。その際、適合しなかった場合の代替手段が用意されていることの確認も忘れてはいけない。
もう一つ重要なのは、ERPパッケージを開発する企業の戦略を確認することだ。TCO(総所有コスト)だけを比較する企業があるが、これは間違っている。TCOは数多い確認すべき項目の一つに過ぎない。