サイバーエージェントのブログサービス「Ameba(アメーバブログ=アメブロ)」が、2009年9月期の第4四半期は初の黒字になった。同社は今期、Ameba事業で約30億円の営業利益を計上する見通しだ。来期には、サイバーエージェントの収益を支える新たな主力事業としての地盤を固め、アメブロ事業における約60億円の累積損失を一掃するという。藤田晋社長に、アメブロ事業について聞いた。(聞き手は島田昇=日経コンピュータ)

懸案だったブログ事業「Ameba(アメブロ)」が四半期ベースでようやく黒字になった。

サイバーエージェントの藤田晋代表取締役社長CEO
サイバーエージェントの藤田晋代表取締役社長CEO
(写真:菅野勝男)

 黒字になるかどうかについては、さほど心配していなかった。黒字転換に固執し、小さな利益を追求しても仕方がないからだ。アメブロは巨大メディアに成長し、高収益事業になってこそ意味がある。目先の収益ばかりに気をとられると、つまらないサービスになってしまう。だからこそ、これまでの約5年間は、あえて収益を度外視しメディア育成に心血を注いできた。

 中長期的な視点で見ると、インターネット広告代理店である当社の最大のボトルネックは、メディアを運営するヤフーやグーグルのような高収益の事業体にはなれないということだ。であれば、自らがメディアを作るか作らないかの二つに一つしかないではないか。

 しかし、周囲の雑音は「アメブロさえなければ良い会社なのに」「いつ赤字はなくなるのか」「責任はとらないのか」などと、すごかった。10人いたら10人が「やめた方がいい」と言うほどだった。

今後2年間で60億円の累損を一掃

 それでも成功できたのは、「必ずやり遂げる」という執念があったからだろう。確かに、当社は後発だ。ブログサービスを展開する競合他社と比べれば、アメブロの立ち位置は不利な面も少なくなかった。だが、新規サービスは、やり続けることで形になることが実は多い。

 累積赤字の約60億円は来期(2011年9月)までに一層できるだろう。アメブロ事業の営業利益は早期に、もう一つの柱であるFX事業と肩を並べるほどになるだろう(本誌注、FX事業の営業利益は2009年9月期に26億円になる見通し)。一方で始めてから5年というのは時間がかかりすぎたと反省している。

巨額の投資を支えられたのは、ミクシィ株の売却益やFX事業などの存在が大きい。運が良かったと思わないか。

 うまくいけば、まぐれだとか運がいいと言われ、失敗すれば、とことん批判される。それが会社経営だと思っている。ただ、金融事業に着手して収益のエンジンを用意するとともに、絶対に信念を曲げなかった。当時、当社の取締役だった三木谷浩史 楽天会長兼社長に反対されてもFX事業に乗り出したし、2009年までにアメブロを形にできなければ社長を辞任するとも公言してきた。自信はあった。