分散ストレージ技術を使いデータ保存コストを下げる

 今後はキャパシティ管理の自動化も進めていく。トラフィックの増加傾向を見てキャパシティの予測を立てながら、自動的にCPUやメモリー、ネットワーク帯域などのリソース割り当てを変更するような仕組みだ。

ほかにコスト削減に向けた取り組みがあるか。

大津マネージャー:ストレージのコストを下げる工夫をしている。ブログサービスなどでは保存量が増え続ける。これに対応するため、分散ストレージ技術と情報ライフサイクル管理システム(ILM)を導入した。

写真2●NECビッグローブ基盤システム本部の大津裕史マネージャー(システム開発・統括グループ)
写真2●NECビッグローブ基盤システム本部の大津裕史マネージャー(システム開発・統括グループ)

 分散ストレージ技術を使うことで、安価なPCサーバーを束ねて大きなストレージプールとして利用する。ここ3年間は2~3カ月に1台のペースで米ネットアップの高価なストレージを購入していた。分散ストレージ技術の導入でこのコストを下げる。2009年10月から試験稼働を開始し、商用環境には2010年4月から導入する。

 分散ストレージ技術はオープンソースの分散ファイルシステム「OpenAFS」をベースに自社開発した。社内では「BIGLOBEユニファイドファイルシステム」と呼んでいる。OpenAFSはストレージ間の同期が不十分だったので、その点を強化した。加えて、ストレージ容量を追加する際の設定を自動的に行えるようにした。サーバー、ストレージともに台数が多いので、追加時の設定変更の手間が非常に大きいからだ。

コンテンツによって保存先ストレージを使い分け

 ILMによってコンテンツごとに保存先を使い分ける。NECビッグローブでは、ネットアップのSAN、米アイシロン・システムズのNAS、PCサーバーによる分散ストレージと複数のストレージ環境を運用している。高速なレスポンスが必要なものはネットアップのSANやアイシロンのNASに置き、アクセス頻度が少ないものはPCサーバーによる分散ストレージ環境に置く。

 例えば携帯コンテンツのように、トランザクションが多いコンテンツはネットアップのSANに保存する。ブログサービスだと文章は最新の画像はアイシロンのNASに置き、古い画像は分散ストレージに保存する。どんなに人気のあるブログでも、過去記事と最新記事ではアクセス数が大きく違うからだ。また、文書はすぐに表示されないと利用者にストレスを与えてしまうので、高速なストレージに保存する。

リソース割り当ての設定自動化ツールは、サーバー集約が進む企業のデータセンターでも便利そうだ。外販する予定はあるか。

遠藤統括マネージャー:我々が開発したツールそのものを外販する予定はない。ただ、コンセプトなどはNECの運用管理ツール「WebSAM」の担当部門と共有している。NECビッグローブで培ったものを、WebSAMに反映させていく方針だと聞いている。