10年後のグーグルを語ろう

 10年前、米グーグルは生まれたばかり、米マイクロソフトは向かうところ敵なしの状態だった。ところが急成長を遂げたグーグルが、マイクロソフトとの真っ向勝負に挑むまでになった。10年後に両社はどうなっているのだろうか。Webビジネスブログの草分けTechCruchの創始者で論客として知られる、マイケル・アーリントン氏に聞いた。(聞き手は、市村 佐登美=米国在住ジャーナリスト、写真は林 幸一郎)

10年前は“新生児”だったグーグルが、かつてのマイクロソフトに勝るとも劣らない権勢を振るっています。水晶玉に映る10年後のグーグルの姿は、どのようなものですか。

 10年後ねえ。歴史が教えてくれるのは、「グーグルも、10年後は面白くない会社になっているかもしれない」ということだ。

政府の介入があるかもしれない

 マイクロソフトはこれまで25年以上、手堅く成長し続けてきた。誰にも破壊できなかった。他のスタートアップ(新興企業)は、収益を伸ばしている会社であっても、そこまで長く成長を続けることは難しい。グーグルは前者のカテゴリに入る。すでに政府は何らかの形で介入することを考えている。

(写真・林 幸一郎)

公的規制ですね。

 そう。米国政府による何らかの規制、あとは分割か…。このことは公表されていないが、可能性について、内々で検討中のようだ。

本当ですか。

 可能性はある。グーグルの検索エンジンマーケティング事業が、最終的に検索エンジンから引きはがされてしまう。こんな未来は想像に難くない。

2009年7月、TechCrunchにSEO(検索エンジン最適化)大手の幹部が匿名で書いた記事「検索エンジン・ビジネスには、もはや公的規制が必要だ」については、約400件のコメントが集まりました。

 「ゲートキーパーとしてのグーグルの力」をめぐって、なかなか興味深い議論が交わされた。筆者は「グーグルは国境警備隊。みんなそこを通らなきゃいけない」と書いたわけだが、あれは面白い。

 ただし、彼の言う国境には「穴」があるのも事実だ。特に現在は、Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)といった、ソーシャルリンクからのトラフィック量がものすごく多い。これらはページランクにカウントされない。

 「グーグルよりも、Twitterから来るトラフィックのほうが多い」と言ってる人もいるぐらいだが、確かめるのは容易ではないのだよ。紹介ログを見ても、Twitter専用クライアントから飛んできた人については、「Twitter.com」と出ないからね。