テクノロジーは世界を変える。だからこの仕事が大好きです

 17歳でコンピュータに出会い、その魅力にとりつかれたパット・ゲルシンガー氏は以来30年以上、テクノロジーの仕事に情熱を傾けてきた。インテルに入社後、数々の最年少記録を打ち立てたゲルシンガー氏はテクノロジーの魅力を「変化が早くいつも新鮮。ものを作り上げ、世界を変えることができる」ことだと語る。(聞き手は谷島 宣之=日経コンピュータ編集長、写真はノザワ トシアキ)

現在はエンタープライズ向け事業の責任者だが、以前CTO(最高技術責任者)を務めた経験から、情報テクノロジー全般の未来像をどうとらえているか。

 個人的に私がわくわくしているのは、「あらゆるものにインターネットが埋め込まれる(embedded Internet)」というビジョンです。ここには色々なアイデアがあります。

 例えばあなたが車を運転して帰宅するとしましょう。車とGPS(グローバル位置情報システム)とインターネットがすべてつながることで、「いつもの道は混んでいるから、今晩はこちらを行ったほうがよい」と教えてもらえる。

 家に着いてベッドに入ってしばらくすると、「あなたの脈拍は通常よりかなり弱いです」と近くの病院から電話がかかってくる。ベッドのセンサーとインターネットと病院のシステムを接続すればこうしたことも可能です。

 スマートなハイウエー、スマートな家、というのはインターネットがあらゆるものに埋め込まれたらどうなるかを示す一例です。人と人、人とマシン、最後はマシン同士がつながる。あらゆるものがインターネットを経由してつながることで、私たちの生活を豊かにしてくれます。

あらゆるものがつながり、新たなアプリケーションが生まれる

 あらゆる人々があらゆる場所で、毎日毎時間、働いている時、遊んでいる時、学んでいる時、寝ている時、インターネットと接することができるようになります。今、インターネットの利用者数はざっと15億人と言われていますがこれはもっと増えていきます。

(写真:ノザワ トシアキ)

 2008年に弊社が開催したイベントで、「2015年には150億台のデバイスがインターネットにつながる」とお話しました。150億台のデバイスがインターネットでつながったとき、新しいサービス、新しいアプリケーションがもっとたくさん出てくるはずです。こうしたサービスは我々の生活の効率を高め、生活の質を向上させていきます。

 先ごろ発表したXeon5500(インテルXeonプロセッサー5500番台)のようなサーバー向けテクノロジーによって、我々はインターネット世界のインフラストラクチャに貢献する一方、様々なものをインターネットに接続するテクノロジーも提供していきます。

 その際に、インテルアーキテクチャが価値を生みます。例えば、テレビをインターネットにつないでブラウジングしたい、テレビでLinuxを使いたい、マルチメディアを扱いたい、と考えたとき、我々のアーキテクチャをお使いいただくと容易に価値をテレビに付加できます。こうした組み込み分野がインテルのビジネスのなかで最も早く成長している領域です。