米グーグルのジェイソン・チェン氏
米グーグルのジェイソン・チェン氏
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米グーグルのソフトウエア基盤「Android」を搭載した端末「HT-03A」(台湾HTC製)の国内発売が,7月10日に決まった。販売はNTTドコモ。Android開発者支援担当のジェイソン・チェン氏に,Android向けアプリケーション・ソフトウエア配布のポリシーなどを聞いた。

アプリケーションの流通プラットフォーム「Android Market」について聞きたい。どんなポリシーをもって運営しているのか。

 まず無料のアプリケーションを提供し,その後有料のアプリケーションを提供することにしている。最初は無料だけにしたのは,携帯電話へのアプリケーションのダウンロード体験が多くのユーザーにとって新しいから。まずは,気軽に使ってほしいと考えた。

 米国で無料ダウンロードを始めたときに分かったのは,たくさんのユーザーがAndroid Marketに殺到し,アプリケーションを見つけてダウンロードを始めたことだ。そしてダウンロードの反復を繰り返す。まだ体験が少ない国ではこのモデルが有効だ。

 平均すると,ユーザー一人当たり40個のアプリをダウンロードしている。当社としては,このモデルを米国や日本以外でも展開することにしている。次のステップに進むには,売買のための各種サポートが必要となる。日本なら円対応,ほかの国ではその国ごとの貨幣への対応も必要になる。

グーグル以外の企業がアプリケーション・ソフトウエアを配信できるのか。

 Android Marketが,ほかのアプリケーションの配信システムと違うのは,独占的ではないことだ。ほかの配信システムでは,第三者がマーケットを立ち上げることを禁止しているが,Androidなら,パブリッシャー(出版元)になりたい,Webサイトで配布したいと思えば,誰でも自由にできる。

日本では,通信事業者が課金システムを持っている。彼らがアプリケーションを配布する可能性はあるのか。

 現時点では調査中と言っておく。可能性はあるが,まだアナウンスできることは何もない。

Androidが登場して以来,競合プラットフォームの動きが盛んになっている。ほかと比べた場合,どんな違いがあるのか。

 Android端末の特徴の一つにマルチタスキングがある。ユーザーは,インスタント・メッセージをしながら,バックグラウンドでは音楽を再生したり,ファイルをダウンロードしたりするといったことが可能になる。

 ほかには,複数のアプリケーションを組み合わせることで,ユニークな体験やフローをユーザーに提供できる「ミックス・アンド・マッチ」や「ノーティフィケーション・バー」,「ホームスクリーン・ウィジェット」などがある。

グーグルは,全世界で開発者会議を開催している。参加者数は,米国に次いで中国が多かったと聞く。Android向け開発に関して,日本との違いはどこにあるか。

 中国は第3世代携帯電話(3G)サービスが始まったところ。日本では,3Gサービスの提供期間が長いだけ,開発者のエコシステムができあがっている。それが大きな違いだ。ただし,中国ではチャイナ・モバイルが積極的に推進しているので短期間での発展を期待している。

現在のAndroidのバージョンは1.5だ。次のバージョンの開発予定はどうなっているのか。

 過去7カ月で3回のバージョンアップを行った。次のバージョンにはまだ番号を付けていないが,コードネームは,「ドーナッツ」と「エクレア」になっている。Androidの開発コードには,デザートの名前をつけている。現行の1.5のコードネームはカップケーキで,頭文字はC。次がドーナッツ(D)とエクレア(E)というわけだ。ドーナッツとエクレアについては,2009年5月末にサンフランシスコで開催した開発者会議「Google I/O」で触れているので,動画共有サイト「YouTube」にアップしている情報を見て欲しい。