米グーグルが携帯電話向けに開発したソフトウエア基盤「Android」を搭載した端末が,間もなく国内に登場する。NTTドコモが6月末にも市場投入するとしている「HT-03A」である。グーグルが主催する開発者向けイベント「Google Developer Day」に合わせて来日したAndroid開発者支援担当のジェイソン・チェン氏に,Androidの現状や日本市場へのインパクトなどを聞いた。
最初にAndroidの発表があったのが2007年11月。それから1年半以上が経過した。これまでの展開をどうみているか。
とても満足している。確かに発表があったのは1年半前だが,最初の端末を出してからは,まだ7カ月しか経っていない。そこから,14カ国で11の事業者が発売するに至っているし,そのほかにも間もなく発売するとしている事業者があって,大きなうねりになっている。今年から来年にかけて,さらに多くの端末が登場することだろう。
アプリケーション・ソフトの開発も順調だ。アプリケーションの流通市場である「Android Market」に登録されるアプリケーションの数も5000に達した。
ユーザーからの支持はどうだろう。
現時点でそれを語るのは難しいが,オーバム(Ovum)という調査会社の発表によると,2014年までにスマートフォン市場におけるAndroidのシェアは18%に達するだろうという。これは,我々の数字ではなくて彼らが発表した数字だが,実数では7400万台になるということになる。
日本の市場は世界市場に先行していると言われる。日本の市場にAndroidを投入することで何を期待するか。
それは,Androidを提供する理由と変わらない。パソコンの出荷済み台数が10億台あるのに対して,携帯電話はその3倍から4倍ある。しかも,今後ますます進化していく。グーグルが期待することは,携帯電話からの検索機会をもっと作って,インターネットのトラフィックを生み出すことだ。
日本では,比較的長い歴史があり,市場やオープンな環境,エコシステムが整っているが,我々がAndroidを投入することで,ユーザーは携帯電話経由でも真のインターネット体験が得られるようになるだろう。
例えば,Androidは,パソコン向けブラウザ「Chrome」と同様,フリーソフトウエアのWebKitベースのブラウザを備えている。強力なレンダリング・エンジンがある。
それでは,日本の開発者に期待することは?
二つある。まずは,洗練された日本市場に対して,日本の高い要求や文化的な特徴に合致した新しいアプリケーションを投入すること。
もう一つは,日本以外の市場にもアプリケーションを提供することだ。Android Marketは世界市場なので,日本の端末だけでなく,世界中の端末に向けてアプリケーションの配信が可能になる。
世界市場への展開としてはiPhoneが先行している。どんな違いがあると考えるか。
Android向けアプリの開発者が,ほかの配信システムに比べてということで話をしてくれることは,Android Marketのリスティングやホスティング機能が整っているこということ。開発者の事前登録の仕組みがあるので,開発者が公開したいタイミングでアプリケーションを公開できるというメリットがある。
(次回に続く)