1年間の送料無料に挑戦,商品選定から物流まで自前主義

ファッション総合サイト「ZOZORESORT」を運営するスタートトゥデイがEC(電子商取引)モール「ZOZOTOWN」を核に業績を伸ばしている。取扱高は自ら商品を仕入れる自社販売が約3割、モール出店者による受託販売が約7割。2009年3月にはアパレルメーカー向けのECサイト構築支援事業にも乗り出した。現状と今後の戦略を、前澤社長に聞いた。

ZOZORESORTとは何か。昨年はSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)なども始めた。

 ファッションのECサイトだ。来ていただいたお客さんには、買うだけでなく付属サービスを使ってもらうように努めている。昨年は、SNSの「ZOZOPEOPLE」や、壁紙などの無料ダウンロードができる「ZOZOGALLERY」といった付属サービスを拡充した。洋服の好きな人が一堂に集まるサイトはうちぐらいしかない。SNSでは「mixi」や「GREE」では話せないコアな洋服の話もでき、PVや滞在時間も伸びている。ただ、それがどれくらい売り上げに貢献したかの判断は難しく、把握はできていない。

 今年は本業のECに、今まで以上に力を注ぐ。商材が増え、買うのに便利なサイトになっていく。

2009年3月期売上高は前年度比24.6%増の106億円超(取扱高219億円)。好調の理由は。

 今ECは、黙っていても成長する状況だ。しかし、「しっかりECをやるぞ」という腹づもり、しっかりとしたベースメント(基盤)を持たないといけない。

 ベースメントとは、一つは商品の取り扱い・選定。二つ目はサイトでどう見せるかの表現手法。三つ目が集客。そして、受注した商品をどう届けるかの物流のインフラだ。そのすべてに自信を持っている。

 この四つは極力自社でやっている。一番大事なのが物流。「物を流す」ことが基本だ。物流では、専用の倉庫を持ち、商品が入荷してからトラックに乗せるまでをやっている。物流には、加工作業も入る。洋服というものが分からないと、撮影のために開いたシャツを畳み直すにしても畳めない。商品のどこのサイズを測るか、どこの写真を撮るかも分からず、(商品知識の無い)パートの人には任せられない。

 現在社員はスタッフ部門を合わせて220人くらいだが、商品系に30~40人、サイトデザイン・システムに30人、集客に20人で、物流には100人弱を投入している。

競合となるAmazon.co.jpなどとの違いは。

 競合では、Amazonが自前の物流やシステムを持っていて我々と近く、参考にしている。ただ、Amazonは何でもそろえる。我々はファッションを扱い、(取り扱う)ブランドのイメージや、横に並ぶほかのメーカーとの関係、目に見えない見せ方も工夫している。我々は(横並びではなく)商品が一番映える置き方をする。“売場づくり”が違うといえる。

ECサイト構築支援事業も始めたが。

 かなり力を入れている。アパレルメーカーが望む究極の売場は、メーカーの考える究極の表現手法を取ったもの。それはメーカーの独自のサイトだ。ただ、集客などの面で問題がある。そこでお勧めしているのは、(集客力のある)モールに出店しながら、直営でイメージ戦略を取ること。うちなら、その両方ができる。例えば3月中旬に(独自サイトを)オープンした「BEAMS」では、一つの商品情報を両方で共有している。商品が売れれば、表示される在庫数は両方で減る。商品情報、写真も同じものを見せている。こうして作業負担についても効率化している。

 支援事業への引き合いは多く、今後「将来的に年間10億をネットで売る」というくらい気合いの入ったメーカーと一緒にやっていきたいと考えている。