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インタビュー

日経ソリューションビジネス

SaaSを停止、会社も清算して“次”に挑む

LUNARR
社長
高須賀 宣氏

2009/06/01
矢口 竜太郎=日経ソリューションビジネス
LUNARRの高須賀 宣氏
LUNARRの高須賀 宣氏

 サイボウズ創業者の高須賀宣氏が単身米国に渡り、設立したベンチャー企業の「LUNARR」。同社は2009年5月10日(現地時間)、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型コラボレーション・ソフト「LUNARR」の提供を停止した(関連記事)。サービスを突然停止した理由は何か。高須賀氏が単独インタビューに応じた。(聞き手は矢口 竜太郎=日経ソリューションビジネス)

LUNARRの目標は、09年2月までに10万ユーザーの獲得でした。実際はどの程度までユーザー数を拡大できましたか。

 09年5月のサービス終了時のユーザー数は6000人です。計画通りにはいきませんでした。

ユーザー数が伸びなかったのがサービス終了の原因ですか。

 直接の原因はそうです。ではどうすればよいかを考え抜きました。個人で出資した資本金約10億円のうち、半分はまだ残っています。サービスを続けようと思えば、続けることはできました。

 しかし、このままでは先がないのは明らかでした。いろいろなことを変えなければならない。そう考えたとき、この会社を存続させながら変革を進めるよりは、いっそ清算したほうがよい、と結論付けました。

ベンチャー企業はサーバーもオフィスも持たない

会社の清算を決意した経緯は。

 振り返ると、経営的にもサービス的にも失敗したと思っています。より正確に言うなら、事業の拡大よりも時代の変化のほうが速く、我々がやろうとしていたことが時代遅れになりつつあった。それを読みきれなかったと思っています。

 例えば技術進歩です。今、米国ではネット系のベンチャー企業でさえサーバーを持ちません。米アマゾン・ウェブ・サービシズが提供する仮想マシンサービス「Amazon EC2」などのクラウド・サービスを使い、次々と新しいサービスを提供し始めるのです。今年(2009年)に入って、そうした傾向は「当たり前」になりました。

 企業経営のあり方もこの数年でまったく変わりました。ベンチャー企業では特定のオフィスを持たないことも普通です。プロジェクトごとに必要な技術者を集め、喫茶店でミーティングし、その場で新サービスを作ることも珍しくありません。

 こうした変化を間近に見て、当社も「持たない経営」に変わる必要があると判断しました。当社は12人の社員を雇用しています。オフィスもデータセンターも借りていました。

 オフィスやデータセンターは返せばいいですが、社員は相当数を解雇しなければなりません。それだけの人数を解雇しなければならないのであれば、いっそ会社自体をたたんだほうがすっきりする。こう思ったのです。

会社を存続させたまま、「持たない経営」に変化することはできなかったのですか。

 その選択肢も考えました。しかし、もしLUNARRを残せばユーザーも残ります。計画より大幅に下回ったとはいえ、6000人いるユーザーに対して既存サービスを存続させなければいけません。企業を大きく変えなければならないときに、これは重しになります。

 ハードやオフィスなどの資産を持たなくてもサービスは展開できるので、新規事業の立ち上げコストがものすごく小さくなったと、先ほど言いました。だったら、既存のユーザーを捨ててでも別の形で再出発したほうが、会社を存続させながら変革するよりも低コストで済む、と判断しました。

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