写真●Oracle IndiaのMurali Subramanian氏
写真●Oracle IndiaのMurali Subramanian氏
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 Oracle E-Business Suite(EBS),PeopleSoft,JD Edwards(JDE),Siebelなど手中に収めたパッケージのいいとこ取りをした製品「Fusion Applications Suite」を出す---米Oracleが2005年に打ち出したこの構想は現在ではトーンダウンとしているが,製品間の統合や機能の共通化は着々と進んでいる。EBSを統括するSubramanian氏に現状と今度を聞いた。(聞き手は,田中 淳=ITpro)

EBS強化の基本方針は。

 いくつかの観点で継続的なイノベーションを進めている。一つめは,資産の統合。我々は様々な分野を代表するパッケージ製品を持っている。一方,アプリケーション分野での収益の大半はEBSが上げている。このため,我々が持つパッケージ資産をEBSに統合していくことが重要だと考えている。

 二つめは,業種・業態ごとに,より突っ込んだソリューションを提供することだ。例えば,2009年中にリリースするRelease 12.1では,当社が買収した物流管理ソフトのG-LogとEBSによるバックエンドのアプリケーションを統合して,倉庫管理(ウエアハウス・マネジメント)を強化する。

 他の例として,エンジニアリングや建設分野向けの強化が挙げられる。これは2段階で進めている。まず,プロジェクト管理ソフトのOracle Projectに当社が買収したプロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント・ソフトのPrimaveraを統合し,建設分野向けのサブコントラクタ(協力会社)向け機能を追加した。さらにこれをEBSと統合し,業種もエンジニアリング分野にまで拡大しようというのが狙いだ。これはRelease 12.1よりも後で実現する。

Release 12.1はマイナー・アップグレードではない

 三つめは二つめと関連しているが,各分野で競争力のある製品を出していく。例えば,調達(プロキュアメント)や人材管理(タレント・マネジメント),給与・報酬(インセンティブ・コンペンセーション),資産管理(エンタープライズ・アセット・マネジメント)といった分野ではオンデマンドあるいはオンプレミス型のアプリケーションとして,競合製品に対抗できるものを出している。

 顧客支援の観点も大切だ。顧客の生産性向上,操作をよりシンプルにする,管理コストを下げるための強化やツールの提供を続けていく。

EBS Release 12.1はRelease 12からのマイナー・アップグレードとなる。基本方針のうち,どの点を重視しているか。

 我々はマイナー・アップグレードではなく,インクリメンタル・アップグレードと呼んでいる。メジャー・アップグレードとの違いは,製品のアーキテクチャの変更を伴うかどうかだ。EBSのRelease 11iでは販売注文管理,12では会計の部分を変更するために,それぞれ製品のアーキテクチャに変更を加えた。12.1ではアーキテクチャの変更はないが,数多くの機能を追加・変更している。

 12.1でどの点を重視しているかは,製品の切り口により異なる。人事・給与関連では給与や人材管理,調達では委託先管理や支出管理,SCM(サプライチェーン・マネジメント)なら倉庫管理や計画など,分野ごとに強化ポイントがある。