企業の経営管理を支援するEPM(エンタープライズ・パフォーマンス・マネジメント)とデータ分析を中心とするBI(ビジネスインテリジェンス)は共通点が多く、違いが分かりにくい。オラクル(オランダ)でEPM事業を統括するフランク・バイテンダイク氏は「EPMとBIは出自が異なるだけで、今やほとんど同じだ」と主張する。EPMとBIの関係や導入効果について、バイテンダイク氏と製品担当シニアディレクタのケリー・ブルック氏に聞いた。(聞き手は吉田 洋平=日経コンピュータ、田中 淳=ITpro)

EPMの概念が日本では正しく理解されていない。特にBIとの違いが分かりづらい。

オラクル(オランダ) フランク・バイテンダイク氏
フランク・バイテンダイク氏

バイテンダイク氏 2001~6年の間、リサーチ会社のガートナーに在籍してEPMを担当した。EPMとBIの違いをどう考えるかについて、当時の我々も大いに悩んだ。今でも、その違いを明確にするのは難しいと感じている。

 一般的な定義をすると、BIはITの世界の考え方だと言える。BIはレポーティング、分析、オペレーションのモニタリングなどを実現するテクノロジの集まり。どのテクノロジも情報ありきで、いろいろな情報を戦略の立案や意思決定に生かすのが狙いだ。ツールの利用者も、基本的にIT側の人を想定している。

 これに対し、EPMは「組織の経営管理プロセスをいかに支えるか」を主眼とする。テクノロジはその実践に必要な要素と位置付けられる。利用するのも、経理部門を中心としたビジネス側の人たちだ。

 ERMでは経営管理プロセスを共通化するために、使用するテクノロジもできるだけ共通化する必要がある。オラクルはこれまで、このアプローチに重点を置いてきた。

 現在はBIとEPMは互いが密に絡み合っており、こうした違いはほとんど無くなってきた。BIの戦略を作るにはEPMの戦略が必要になる。このため、どちらが先かということにはほとんど意味がなくなっている。オラクルはBIとEPMを一つのかたまりと、とらえている。