デル日本法人は2009年4月にサーバーとワークステーションの新製品を発売した。第11世代となるサーバー製品ではインテルの新型Xeonプロセッサを搭載。仮想化対応のためにメモリーの容量を前世代の1.5~2.25倍にしたほか、サーバー管理ツール「Dell Management Console」(DMC)を標準搭載するなど、大幅な強化を図った。デル日本法人の執行役員 アドバンスド・システムズ・グループ本部長の町田栄作氏とエンタープライズ・マーケティング本部 ブランド マネージャーの布谷恒和氏に、第11世代の製品戦略などを聞いた。

(聞き手は中井 奨=日経コンピュータ)

第11世代と前世代との違いは。

デル日本法人の町田執行役員(右)と布谷ブランド マネージャー(左)
デル日本法人の町田執行役員(右)と布谷ブランド マネージャー(左)

布谷: 前世代のブレードサーバーを投入した際に、デルとしては初めて一つの製品に30の特許技術を採用し、約5万4000時間の工数をかけた。運用管理や消費電力低減の仕組みなどをブレードサーバーで提供していたが、ブレード以外にも幅広く展開する必要があった。そこで第11世代からはブレードだけではなく、ラック型、タワー型を含めてすべてのサーバー製品にもこれらの仕組みを取り入れた。ちょうどインテルの新型Xeonが出るタイミングだったので、全面的に刷新した。

 今回、組み込み型マネジメント機能も初めて搭載した。メディアを使用せずにサーバーのセットアップができ、導入時間を50%短縮できる。ドライバやユーティリティのインストールに時間をかけたくないというお客様の要望に応えた。

町田: 導入時間だけではなくコストの問題もある。お客様は第三者に支払う導入コストを最小限に抑えたいと考えている。システムインテグレータの側にも、メーカーに任せたいという考えもある。彼らはもっと上位のところで存在価値を出せるからだ。

SSDへの対応は。

布谷: ブレードでは昨年11月から対応したが、第11世代ではブレード、ラックもすべてSSDに対応した。ただし、SSDの需要はまだ多くはない。確かに速度は速いがSASに比べると2.5倍くらい価格が高い。今後さらに安価になれば需要は拡大すると見ている。

ブレードやラック、タワーで機能の違いがなくなった。その狙いは何か。

布谷: 元々はサーバーが集約される環境を想定していたので、例えば消費電力のパワーキャッピングなどはブレードにしか適用できなかった。ただ、結局ブレードだけではなく、ラック型のお客様からもこうした機能を取り入れてほしいという要望が強かった。デルはDMCとかライフサイクルコントローラを含めてシームレスにどんなフォームファクターでも同じように管理できるというのが目標なので、第11世代からすべて同じ機能を利用できるようになった。

 サーバー集約ではブレードだけではなく、ラック型を選択する企業も少なくない。それは運用管理のポリシーがあるからだ。ブレードだとシャーシと本体を同時に更新しないといけないため、ラック型を好む企業も多い。

前世代の製品に比べて価格はどうなったか。

布谷: 価格は同等の構成だと、第11世代の方が1割くらい割高になる。それはプロセッサ、メモリが出たばかりという事情もある。ただし全世界的に部品の価格は下がっているのでそれほど大きなインパクトはないのではないか。いろんな機能も入っているし、部材も丈夫で価格競争力は十分にあるはずだ。

厳しい経済環境で企業はIT投資を抑制している。第11世代の製品は売れるのだろうか。

町田: 厳しい状況でも、仮想化、セキュリティ、コンプライアンス関連は逆に成長し続けている。お客様はROIが明確であれば、適材適所に仮想化環境を構築していく。我々の製品は今回仮想化対応を強化した。SDカードやUSBを使って、簡単なセットアップで仮想化環境を構築できるのが強みだ。しかも、VMwareだけでなく、Hyper-VやXenなどすべてのハイパーバイザに対応している。

第11世代への移行をどう促すのか。

布谷: 製品を紹介し、移行を促すためのさまざまな仕組みを用意している。その一つが無償の簡易診断ツールだ。今所有しているサーバーの台数をWebサイト上で簡易的に入力し、第11世代のサーバーを使うとどれだけサーバーを統合でき、消費電力を削減できるかシミュレーションできる。現在は米国で英語版のサービスを提供中だが、今夏にも日本語版を提供する予定だ。