米Panduitは,サーバー・ラックやケーブル配線など,データセンターを支える物理インフラ製品を企画/製品化しているベンダーである。最大の特徴は,ケーブル配線や電源などの物理インフラを,ITネットワークの運用管理ソフトを使って可視化/管理できるようにしている点だ。このための製品として,運用管理ソフト「Physical Infrastructure Manager(PIM)」やパッチ・パネル「PanView iQ」などを提供している。ITproは,同社幹部にビジョンと製品戦略を聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


米PanduitでPresidentを努めるThomas C.Donovan氏(写真中央),Asia Pacific地区Managing Directorを努めるRobert Kleinschmidt氏(写真右),日本支社長の鎌原正幸氏(写真左)
米PanduitでPresidentを務めるThomas C.Donovan氏(写真中央),Asia Pacific地区Managing Directorを務めるRobert Kleinschmidt氏(写真右),日本支社長の鎌原正幸氏(写真左)
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米Panduitが提唱するビジョン,UPI(Unified Physical Infrastructure)とは何か。

 UPIは,サーバー機やキャビネット,電源設備など,データセンターを構成するあらゆる物理インフラを,統合的に管理できるようにするビジョンである。このビジョンの下で,単一の運用管理ソフトから,データ通信インフラの整備,電源の管理,機器の制御---などが可能になる。

 これまで企業は,電源設備からケーブル配線,サーバー設置など,データセンターを構成する各種の要素を,要素ごとにバラバラに導入し,管理していた。人材も,ファシリティ(設備)を担当する部署(総務部など)と,ITを担当する部署(情報システム部など)の2つの組織に分かれていた。こうした状況を変えて,物理インフラを含めた全要素をITで管理できるようにする。

現状,具体的にどのような管理が実現できているのか。購入可能な製品の中で,運用管理可能なものには何があるか。

 まず,市場を見渡すと,データセンター設備そのものが進化していることに気付く。インテリジェントな運用管理機能を,ビル設備として最初から備えている。こうしたインテリジェント・ビルには,米Panduitの技術や製品を取り入れたものも多い。また,米Cisco Systemsのパッケージ製品にも,エアダクトやケーブリングなどで,米Panduitの技術が実装されている。

 米Panduitの製品では,まず,運用管理ソフトのPhysical Infrastructure Manager(PIM)がある。このPIMから管理可能な機器の1つとして,インテリジェンスを備えたパッチ・パネルのPanView iQがある。PIMとPanView iQにより,サーバー機へのケーブル配線を可視化できる。さらに,温度センサーなど各種センサーからの入力をPIMで管理できるようにする管理ボックスも用意している。今後,PIMで管理可能な物理機器を拡充していくつもりだ。

 PIMの管理インタフェースをファシリティや物理機器のベンダーに提供している。このインタフェースに準拠したかたちで機器を開発すれば,その機器はPIMから管理できるようになる。PIMを世の中にアピールしていくとともに,ファシリティ・ベンダーなどの他社に働きかけ,PIMを中心としたUPIのエコシステムを構築していきたい。あらゆる物理インフラを運用管理ソフトから管理できるようにしたい。