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インタビュー

日経コンピュータ

出でよ、日本発の「クラウドを支える技術」

東京工業大学大学院
准教授
(「クラウドコンピューティングコンペティション」実行委員)
首藤 一幸氏

2009/04/15
中田 敦=日経コンピュータ

 大規模分散データ処理技術など、クラウド・コンピューティングを支える技術の開発力を競う「クラウドコンピューティングコンペティション」が2009年6月に開催される。同イベントの実行委員を務める東京工業大学大学院准教授の首藤一幸氏は、「クラウド・コンピューティングを支える技術は作れるんだ、という思いを日本の技術者に持ってもらいたい」と語る。(聞き手は中田 敦=日経コンピュータ編集)

6月の「Interop Tokyo 2009」で開催される「クラウドコンピューティングコンペティション」は、どのようなイベントですか?

[画像のクリックで拡大表示]

 クラウド・コンピューティングは、クラスタ技術やP2P(ピア・ツー・ピア)技術、分散ストレージ技術などの集大成であるといえます。このような技術をただ使うだけでなく、特に若い技術者に「自分にも作れるのだ」と思ってもらうイベントとして、技術開発力を競うコンペを企画しました。

 コンペと言っても、何か課題があるわけではありません。若いエンジニアに、実際に自分の技量を披露してもらって、それを審査します。

 「memcached」のようなキー・バリュー型データストア(データを「キー」とそれに対応する「値(バリュー)」にして保存するデータストア技術)を改造して無改造状態よりも高い性能を出す、自前のキー・バリュー型データストアを開発する、「Apache Hadoop」(米グーグルの大規模分散データ処理技術MapReduce/GFSのオープンソース実装)を使った大規模データ処理システムを開発する、といった具合です。

 審査員をうならせたら賞を出すといった感じの、若いエンジニアをはげますイベントにしたいと考えています。

「自分で作る」というのがポイントですか。

 はい、既にIT産業に所属する方も含めて若いエンジニアに、「大勢の人に向けて、自分のプロダクトで勝負する」ことに挑戦してもらうのがコンペの目的です。

 日本のIT産業は情報サービス業が中心で、売り上げの85%が受託開発によって成り立っていると言われています。確かに、受託開発は社会を支える重要な仕事ではあります。しかし、自分が作った「モノ」が、一人や二人、一社ではなく世界中で使われることは、自分を含めエンジニアの夢だと思います。

 クラウド・コンピューティングというと、「マッシュアップ」のように「既にあるサービスを使う」ことに注目が集まりがちです。しかしそれでは、従来のように海外製ソフトウエアを買い付けるのと変わりません。「マッシュアップはシステム・インテグレータ的な発想だ」と言ってもいいでしょう。

「クラウドを支える技術」の開発は可能でしょうか?

 日本のエンジニアに底力は十分あると思います。先日開催された「キー・バリュー・ストア勉強会(関連記事:「キー・バリュー型データストア」開発者が大集合した夜)」がその証拠です。

 特に今回のコンペでは、参加者はStarBEDプロジェクト(NICT北陸リサーチセンターが開発した大規模テスト環境)が用意するPCクラスタを最大1000台まで使用して、ソフトウエアの技術検証ができます。

 分散コンピューティングの世界では、10台のコンピュータで動くソフトウエアが100台、1000台の環境で動作するとは限りません。しかし、大学院生が研究に利用できるコンピュータの台数はせいぜい数台から数十台です。1000台ものコンピュータでソフトウエアを動作させる経験は、「Amazon EC2」のようなクラウド・コンピューティング環境が登場したとはいえ、なかなかありません。

 今回のコンペは、学生に限らず社会人も対象にしています。自分の力を試してみたいというエンジニアに、広く参加してもらいたいと思っています。

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