革新は大企業から生まれない 動画が新しい時代を開く

米国で20年以上にわたってベンチャーキャピタリストとして活動してきた。既存のコンピュータ中心のITの時代は終わりに近づいており、動画によるコミュニケーションを核にしたPUC(パーベイシブ・ユビキタス・コミュニケーションズ)が、これからのITの中心産業になると言う。革新的な技術は小さな企業からしか生まれないという確信の下、ベンチャー企業の支援に力を注ぐ。

PUCがこれからのITで重要だとの持論をお持ちです。

 コンピュータにはメインフレームに代表される大型と、パソコン、携帯情報端末のようなものの2種類があります。これらのうち、パソコンや携帯情報端末は、インターネットが登場したことでコミュニケーションするためのハードになっているんです。電子メールやWebの閲覧、検索などが主目的になってきました。

 パソコンは、ネットワークのなかった時代に、ワープロや表計算などを最適化するために作られたものです。計算機能中心のパソコンをコミュニケーションのために使おうとするとどうしても不便なところが出てきます。

 ユーザー・インタフェースなどを工夫して便利に使用とすると、CPUの負荷が高まって、アプリケーションの処理速度が落ちるのです。

 これは効率が悪い。ですからコミュニケーション中心の、通信機能に主眼を置いた新しいアーキテクチャが必要なのです。

コミュニケーションを最重視したときには何が重要なのですか。

 動画です。動画像なしに、人間の自然なコミュニケーションを画面で示すことなんてできないでしょう。動画を効率よく扱えるようにすることです。

 今、デフタ パートナーズが子会社化して経営を支援している企業に、アイルランドのXVD テクノロジー ホールディングスがあります。XVDは独自のコーデックをベースにしたソリューションを提供する企業です。

 XVDの技術を使えばハイビジョン以上の高精細の画像を、コンピュータや回線に負荷をかけずに配信、再生できます。当社は2003年からかかわってきました。

 ハイエンド市場では実績も出てきました。既にいくつかの放送局が利用し始めています。

 今はテレビ電話会議システムの市場を狙っています。この分野で成功すれば、次はXVDのソリューションを使った遠隔医療、遠隔教育を手掛ける企業が生まれるでしょう。