ネットメディアの中心は消費者発信のモバイルコンテンツへ

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)「GREE」を運営するグリーが、2008年12月に東証マザーズに上場した。ケータイ向けのゲームとSNSを融合したサービスで成長を続け、会員数は2008年10月末で716万人。上場では初値5000円、時価総額で1000億円を超えた。田中代表取締役社長に上場の狙いと、今後の事業戦略を聞いた。

2008年12月に上場したが、狙いは。

 資金調達が一番大きな目的だ。テレビCMなどのマーケティング費用、それとサーバー代などの設備投資のために、36億円を調達した。

 我々はネットの会社だが、プロモーション活動を積極的に展開しているのが特徴。その狙いは、多くの人に使ってもらうこと(会員増)に尽きる。テレビ、ネット、モバイル(ケータイ)など、それぞれだけしか見ていない人が結構いる。テレビCMだけでいいという時代ではなく、逆にネットだけでいいものでもない。費用はかさむが、全部の手段を使わないと、より多くの人にリーチすることはできない。

会員獲得の目標、ターゲット層は。

 今のユーザー層は20~30代がメーンで、5割から6割ぐらい。若年層ではなくて団塊ジュニアなどが多い。会員獲得では今、2000万~3000万人を目指している。何年に達成という目標はないが、中期的に目指している数字だ。海外の情勢を見ても、これぐらいの市場の伸びしろはあると考えている。

 3000万人となると人口の2~3割をカバーすることになる。これはNHKのテレビくらいの勢いであり、特定のセグメントを狙うものではない。

目指している事業展開は。

 これからの変化として二つある。一つが、ネットのメディアの中心がユーザーの発信したコンテンツになること。もう一つは、パソコンからモバイルへのシフトが一層進むことだ。こうしたマクロのトレンドがあって、我々はその二つを満たすメディアを作っていこうと考えている。

 一般ユーザーのネット利用は、モバイルになると考えている。「mixi」でもモバイルのページビューの方が多く、そのトレンドはあと3年ぐらいは続く。最初は音楽配信、次にメール、そしてSNSもモバイルにシフトしている。パソコンを使う人はモバイルを過小評価しがちだが、世の中は進行していると思う。

パソコン向けのSNSサイトはどうするのか。

 昔のパソコンユーザーは「マスユーザー」だったが、そのマスユーザーがモバイルに移ると、パソコンを使うのはヘビーユーザー、仕事で使うユーザーに変化していく。そういう人向けに作り替えていく。

 ゲーム機でも、据え置き型より携帯型の方が市場規模が大きくなった。一般ユーザーのニーズに合うようになると据え置き型から携帯型にシフトする。ケータイも第三世代になり、5年内には一般ユーザーが満足するものになるだろう。パソコンは残るがメーンではなくなる。