富士通と米Red Hatは2008年末,提携の強化を発表した(関連記事)。両社はRed Hat Enterprise Linuxのアップデート・リリース単位のサポート期間を拡大。富士通はこのサービスを提供する世界で初めてのパートナ企業となる。Linuxへの取り組みについて富士通のサーバシステム事業本部長 豊木則行氏らに聞いた。
富士通では何人の技術者がLinuxカーネルの開発に従事しているのか。
開発のほかに,検証やドキュメンテーションを行う技術者も含めて約250人だ。ソースコードを投稿する技術者だけでも50人くらいになる。米Red Hatにも技術者を派遣している。Red Hatに技術者を常駐させたのは,海外メーカーも含め富士通が最初だ。
富士通が開発したLinuxカーネルの機能は。
障害が発生した際にメモリーの内容を記録するダンプ機能や,ハードウエアのリソースをグループ化して割り当てるためのメモリー・コントロール機能など多数ある。ダンプ機能は最初,富士通,日立製作所,NEC,日本IBMの4社の共同で開発した。当初はなかなかカーネル標準機能にはならなかったが,3回作り直して,現在では標準で取り込まれている。
Linuxカーネル開発にあたっての苦労は技術面よりもむしろ技術者のマインドや信用だった。コミュニティに意見を述べるということが最初はなかなか難しかった。まず何人かの技術者が核になり飛び込んでいった。カーネルのバグを多数修正して名前を売ったり,エンジニアを米国のカンファレンスなどに送り込んで,ひどい英語だが話をして「あいつの言うことは聞く価値がある」といいうように信用を積み重ねていった。
Linuxの信頼性は他のOSと比べてどこまで来ているのか。
メインフレームや商用UNIXに比べて全く遜色ない。場合によってはむしろLinuxのほうが信頼性が高い。インストール・ベースが多く,様々な使い方がなされてバグが洗い出されているからだろう。むしろ,キーになるのはサポートだ。
IAサーバーのOSとしてWindowsとLinuxをどう位置づけているのか。
(通常のIAサーバーである)PRIMERGYでは,WindowsとLinuxの割合は8対2だ。しかし(全モジュールを冗長化して信頼性を高めた)基幹システム向けのPRIMEQUESTではLinuxの割合が8,Windowsが2と逆転する。富士通からはどちらの信頼性が高いといった誘導はしていないが,お客様が持つイメージによりこういった数字になっているようだ。